【554号】考えていますか? わが子のオシゴト

すぱいす読者の中には、これから子どもの将来(進学、就職)を考えなくてはならない人も多いのでは? 特に仕事選びは、時代とともに新しい職業が誕生する一方で、人工知能(AI)の発達などで将来なくなるかもしれないといわれる仕事もあり、親としてどうアドバイスすべきか悩ましいですよね。子どもたちの進路選択への関わり方やさまざまな“オシゴト”に関する情報収集について、今から考えておきませんか。

気になる子どもの将来 親の関わり方はどうすればいい!?

迷える!?母たちの座談会

これからわが子が将来のさまざまな選択を迫られるであろう子育て世代のすぱいす読者3人が集まり、「子どもの仕事選び」をテーマに、悩みや不安、疑問などを語り合いました。きっと皆さんが共感できる部分もあるはずですよ!
(参加者は撮影のためマスクを外しています)

平田美幸さん

2男2女を育てながら自身も就活中! 仕事選びは子どもたちの自主性を尊重。

藤原睦美さん

大学3年の長男を筆頭に、高2(次男)・中2(三男)と、これから次々と進路選択を迫られる。

堀田紗江さん

2男4女の子育てに奮闘するパワフルママ。 目下、高2の長女の進路についてお悩み中…。


ーお子さんと「将来就きたい仕事」について話す機会はありますか。
平田(以下、平)

高専4年の長男と高校2年の長女とは、小さい頃から「なりたい職業はある?」と、気軽に話す機会がたびたびありました。そのかいあって、長女は「小学校の先生(教師)になりたい」という幼稚園の頃からの夢を今も持ち続けています。親子でそういう機会を持っておけば、いざ進路を選択する時に悩まずに済むと思います。

堀田(以下、堀)

わが家も会話は多い方だと思います。高校2年の長女は幼い頃から料理好きで、高校も専門コースのあるところに入り、料理の道を目指して頑張っています。中学3年の次女は「アナウンサーになりたい」と言っていますが、私には全く縁もゆかりもないジャンルで、どうアドバイスしていいかが悩みの種ですね。

藤原(以下、藤)

うちも話す機会は多いですね。大学3年の長男は、幼い頃から「パイロットになりたい」という夢があり、その道に進むための大学に入学しました。途中、別の夢を抱いた時期もありましたが、結果的に最初の夢に戻る決断をしました。彼は、その決断を親に相談せず自分でしましたが、小さい頃から折に触れ「将来」について話していたので、本人なりのビジョンが固まっていたんだと思います。


手助けし過ぎず 自主性に任せることも大切

ー親自身も、どんな方法で目指せばよいか分からない職業を子どもが希望している場合、どんなアドバイスをしていますか。

今はインターネットを使えば、意外と自力でいろいろな情報が手に入るので、「自分で調べなさい」と言っています。

わが家もネットですね。ただ、今の子はホームページ(文字情報)ではなく、ユーチューブなど動画を検索しているようで驚きました。

うちの長男はwebデザイナーを目指していますが、反対はせず「自分の力でやるだけやってみたら。でも大変だよ」とだけ言いました。そのせいか、自分でいろいろと情報を集めて動いているようです。ただ、厳しい世界だと思うので、「もしもダメだった場合」のことも考えておくようにという話はしています。


ー複数の選択肢が必要というわけですね。ただ、時には親子で意見が衝突することもあるのでは。

長女は県外に出ることに強く憧れているようですが、願わくば県内にとどまってほしいと思っています。今のところ全く折り合いが付かず、良い解決策も見つかりません。それに、選択肢が「料理」だけなので、平田さんのアドバイスのように他の選択肢も考えてもらいたい。例えば、同じ料理でも、「作る」側だけでなく「経営」も学ぶとか。


ー最近は職業の種類も、職業に就くための方法も、以前とは様変わりしていますよね。

「ユーチューバー」なんて私たちの時代にはなかった。そういう新しい情報をどうやって集めればよいか、親子の会話だけでは分からないし、調べようがない部分も多いですね。

この先、親世代には分からないことが増えてくるでしょう。その中で教えられることは限られてきますよね。職業に関する情報を調べるよりも、子どもをいろいろなコミュニティーに参加させて、「生きることを楽しんでいる大人」の姿を見せてあげることも大切だと思います。親があれこれ言うより、そういう場で自ら吸収する方が、学びや気付きがあるかもしれませんしね。

今の時代は子どもたちの方が情報を得るのは早いですし、彼らから教えてもらうことも多いですよ。


ーお子さんたちが進路を選ぶに当たって重視してほしいことなどはありますか。

うちでは、「楽しいことをやりなさい」と言っています。仕事だからつらいこともあるけれど、そんな中にもやりがいや楽しさを見いだせる。そういう仕事を見つけてほしいですね。

私も藤原さんと同感です! それと、こういう大変な時代を生き抜く力をどう身に付けるかも、親子ともどもの課題です。

世界規模の感染症拡大をはじめ、不確定要素が多い時代になり、安定した仕事は望みにくいですよね。結婚も考えないといけませんが、娘たちには高校を卒業したら就職してほしいと思っています。ただ、なかなか親の意見を聞いてもらえませんけど…。


何にでも挑戦し 多様な価値観身に付けて

ー皆さん自身が社会に出て働いた経験を基に、わが子に進路選択(仕事選び)へのアドバイスを送るとしたら、どんな言葉を掛けますか。

私は教職員の臨時採用で何校か勤務した経験がありますが、とにかく忙しくて余裕がありませんでした。ですから、「(社会に出る前に)時間の管理をしっかりできるようにしておきなさい」と伝えたいですね。

私は以前、栄養士の仕事をしていましたが、実際に働いてみて「自分には向いていない」と気付きました。ただ、他に手に職がなく、その後の選択肢に苦労したので、一つの仕事がダメだったときのことも考えておいてほしいし、挫折を味わっても折れない心を育むことが重要でしょう。それを身に付けるために、若いうちはたくさん失敗していいと思います。一方で、小さな成功体験を積むことで自己肯定感を高めてもらえたらいいですね。

私は子どもの頃から音楽を習っていたので、「それが自分の好きなことだ」と思い、音楽教師をしていた時期もありました。ただ実際の現場を経験し、思い描いていた理想の教師像との間にギャップを感じたこともありました。何か一つのことに打ち込んで、それを仕事にするのも大事ですが、何にでもチャレンジして多様な価値観を身に付けることも大切なんだと伝えたいですね。大人になるまでに、できるだけたくさんの“楽しいこと”に出合ってほしいと思います。

【まとめ】保護者が慌てない!焦らない!

誰しも若い頃は、友人や先生らの意見、時にはテレビやネットなどの情報に左右され、将来に対する考えが変わりやすいものです。子どもの一挙一動に慌てず、焦らず、どっしりと構えて温かい目で見守ってあげることも必要かもしれません。


どれが正解!? 親の接し方・話し方

わが子が社会に出るための「オシゴト選び」。親としては、応援したい気持ちと不安、どちらも強くなり、つい衝突してしまうことも。子どもの伴走をする親はどう接すればいいのか? コミュニケーションの専門家に聞きました。

「最後まで」話を聞こう!

子どもの考えに賛成でも反対でも、最後まで話を聞きましょう。子どもなりに一生懸命考えた末の選択肢。その気持ちを受け止めてあげることが大切です。親にしっかり聞いてもらえることが、生きるエネルギーややる気につながります。

こんな会話の仕方はNG

・話の結末を予測し分かったつもりになる
・最後まで聞かずに自分の考えを言う
・話の途中で良い悪いとジャッジする


主役は子ども。たくさん質問を!

子どもの将来を心配するあまり、つい「お母さんの時代は~」「お父さんの聞いた話では~」など、親の進路選択のようになってしまうことがあります。大切なのは、本人が「気付く、考える、調べる」こと。そのためにも、親は意見を言うよりもたくさん質問をしてあげましょう。

こんなことを聞いてみては

「将来はどんなふうになりたいの?」
「(その仕事は)どんなところが魅力なの?」
「その仕事についてもっと教えて」


親の気持ちや考えは、「私」を主語にして伝える!

親から見れば、子どもは未熟で危なっかしい存在。だからといって子どもの将来に対する考えや希望の職業を否定するのはNGです。主語が「あなた」になると、どうしても相手を責めるニュアンスに。そんなときは、主語が「私」になるように意識して話してみてください。

「あなた」を「私」に言い換えて

×「どうして(あなたは)お母さんの言うことを聞かないの!」
⇒○「お母さん(私)はあなたに話を聞いてほしいの」
×「(あなたは)お母さんが心配しているのが分からないの!」
⇒○「お母さん(私)はあなたのことが心配なのよ」

田木暁子(たき・さとこ)先生

人材育成コンサルタントとして企業向けにコミュニケーション、リーダー育成、接遇マナーなどの指導を手掛ける。キャリアコンサルタント(国家資格)など資格多数。


子どもたちのオシゴト探しのヒントになるサイトが!

座談会参加者の意見にもあったように、子どもの仕事選びに当たっては親も「情報不足」を感じているようです。そんなときに役立つツールが手に入るのが、「くまもとオシゴト探検ホームページ」<制作/(公財)熊本県雇用環境整備協会>。ぜひ参考にしてみてください。

[Tool.1]くまもとオシゴト探検BOOK

社会にあるさまざまなオシゴトを110社以上紹介。また、15の業種の“職業人”に取材し、仕事に対するやりがいなども聞いています。

[Tool.2]くまもとオシゴト探検MOVIE

県内15のオシゴトや学びの現場を訪ね、それぞれの仕事の様子やどんな人がその仕事に向いているのかなどを紹介します。

[Tool.3]ジブン発見BOOK

「くまもとオシゴト探検BOOK&MOVIE」を読んだり、見たりした後に、感想や気付きを5つのワークシートに書き込んで、自分自身や今からやるべきことを“見える化”!

これら3つのツールは、いずれも「くまもとオシゴト探検ホームページ」で閲覧・ダウンロードすることができます!

くまもとオシゴト探検ホームページ

https://lets.kumanichi.com/oshigoto/
(公開期限:令和3年3月31日まで)