トップアスリートとして活躍し、現在は運動指導などに当たっている川上優子さんがつづる、心が元気になれる“サプリメント・コラム”。

心と体を磨く"Y"の法則

筆者プロフィール

1975年、松橋町(現宇城市)生まれ。信愛女学院高から沖電気宮崎に進み、アトランタ(1996年)、シドニー(2000年)両五輪の陸上1万メートルに出場し、アトランタでは7位入賞。現在、一般社団法人スポーツコア代表として、ランニングを通じた地域貢献に取り組む。


Vol.34 「理解」はできなくても「尊重」はできる

最近、スポーツ界で話題になったことといえば、東京五輪組織委員会での「女性蔑視発言」でしょうか。発言に対する賛否は別として、私自身は性別に関係なく、他人の言動で理解できないことがあったとしても、それはある意味で「当然のこと」だと思っています。

自分に理解できないことがあるということは、裏を返せば自分も人に理解してもらえないことがあるということ。そう考えると、「理解できないことがある」という事実を無理に理解しろというのは、少し乱暴な気がします。

必要なのは理解というよりも、むしろ「尊重」ではないでしょうか。今回の問題でも、発言者には根本的な部分で異性への尊重が大きく欠けていたように思いますし、だからこそ発言に不快感を覚えた人が多かったのだと思います。

現在、私は「監督」という職業に就いていますが、実業団の陸上部は、実に9割近くが男性監督という世界です。幸いにして私は、女性だからということで不当な扱いを受けたことはありません。もちろん、女性であることが不都合な場面はありますが、逆に女性だからこそ都合が良い場面も少なくありません。

社会においても、それぞれの持つ特性や特異性を生かしつつ、周囲の人やその人の立場などへの尊重を大切にしていきたいものです。

現在、鹿児島県徳之島で長期合宿中のため、部屋で“留守番”中のサボテンたち。彼らの体調がちょっと気掛かり…