人づくりにも生きる 名将の“指導哲学”

「凡事徹底」。「当たり前のことを、当たり前にやる」ことですが、一歩進んだ深い意味があります。「当たり前のことを、人並み以上に一生懸命やる」こと。サッカーの渡り廊下の壁にはこの四文字が書かれているそうです。これを書いたのが、この本の主役で、同高サッカー部の力を全国トップクラスに引き上げた平岡和徳監督(現宇城教育長)。

「大津高サッカー部の歴史と併せ、平岡先生の足跡と優れた指導を形として残しておきたかったんです」。著者の井芹貴志さんは同高サッカー部OB。母校の急成長から目が離せなかったようです。

そして井芹さんは、平岡氏の取材を通じて、その急成長の原動力となった“指導哲学”を感じることができたそう。「ゼロから1を創る、24時間をデザインする、個性を伸ばす、安心できる場所を作る、の4点。どれもサッカ-やスポーツの指導にとどまらず、ビジネスや教育、子育てにおいても大切なことではないでしょうか」。人が成長するには…、人を成長させるには…。そのヒントを与えてくれる一冊です。

テキスト/すぱいす編集部・濱田

井芹貴志さん

1971年、熊本市生まれ。タウン情報誌編集者を経て2005年からフリー。県内のサッカー情報を発信するWEBマガジン「kumamoto FOOTB ALL JOURNAL」を運営。

information

「凡事徹底~九州の小さな町の公立高校からJリーガーが生まれ続ける理由~」
著者/井芹貴志 出版社/内外出版社 定価/1400円+税

人口3万5000人弱の小さな町にある普通の公立高校・熊本県立大津高校。時間は有限、使い方は無限。24時間をデザインするサッカー部の1日の練習は100分。当たり前のことを人並み以上にやり抜く、「凡事徹底」の理念のもと、同校をインターハイ、高校選手権の常連に育て上げ、巻誠一郎、土肥洋一、谷口彰吾、車屋紳太郎、植田直通など、50人近くのJリーガーを輩出してきた名指導者・平岡和徳監督のチームマネジメントと人づくりに迫る。

「凡事徹底~九州の小さな町の公立高校からJリーガーが生まれ続ける理由~」


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