勇気づけられる 日常を描いた作品群

高台に立つ一軒の家、そこで暮らす姉クリスティーナと弟アルヴァロ、農機具、家畜…。質素な生活の情景の中に、その時々の光や風、空気を感じるようです。日本ではなく異国の風景なのですが、不思議な懐かしさみたいなものをおぼえるのはなぜでしょう。

アメリカ具象絵画の巨匠アンドリュー・ワイエスの水彩画・素描を紹介する展覧会が、中央区の熊本市現代美術館で開かれています。熊本地震からの復興支援特別企画で、埼玉県の美術施設「丸沼芸術の森」が所蔵する代表作「オルソンハウス・シリーズ」から抜粋した40点を見ることができます。

ワイエス(1917~2009年)は、アメリカを代表する現代作家。アメリカ北東部のメーン州にある「オルソンの家」に住む姉弟の生活を約30年にわたって描いてきました。静かな中にも、深い精神性を感じさせる油彩・水彩などで、世界的に人気があります。今展では、家周辺の風景や、「『クリスティーナの世界』習作」などを展示。ワイエス独自の世界観を堪能できます。

ワイエス作品から40点が抜粋展示

「丸沼芸術の森」が所蔵するワイエス作品から40点が抜粋展示されています

丸沼芸術の森は、ワイエスやモネなどの作品を所蔵。熊本地震から2年の節目に、復興支援として開催を提案してくれたそうです。東日本大震災の被災地でもワイエスの展覧会を開いています。

地震を経験して、私たちは日常の大切さ、日々をどう生きていくかを考えさせられました。日常の何気ない風景や、足に障害を持ちながらも強い意志を感じさせるクリスティーナの後ろ姿は、復興を目指す県民を、きっと勇気づけてくれるはずです。
(すぱいす・嶋)

Information

熊本地震復興支援特別企画 丸沼芸術の森所蔵 アンドリュー・ワイエス 水彩画・素描展

5月6日(日)まで。10時~20時。
火曜休館(5月1日は開館)。入場無料
熊本市現代美術館ギャラリーⅢなど(中央区上通町2‐3)
問い合わせは同館096-278-7500
※同館では4月15日(日)まで、「熊本市民美術展 熊本アートパレード」も開催中。入場無料

店舗情報

熊本市現代美術館

住所
熊本市中央区上通町2-3 びぷれす熊日会館3F
TEL
096-278-7500
店舗ホームページ
http://www.camk.or.jp/
営業時間
10時~20時(入場~19時30分)
休業日
火曜