石牟礼さんと志村さんの願い 熊本、京都、東京で実現へ

ヒトは昔、どこから来たのでしょう? 海に囲まれた島国ニッポンの場合は、海の向こうから、と考えるのが自然ですね。そしてそこにあるのが理想郷、沖縄では「ニライカナイ」と呼んで思いをはせます。

天草生まれ水俣育ちの作家・故石牟礼道子さんもまた、いつも海とその向こう側への思いを抱き続けた人でした。石牟礼さんの手による新作能「沖宮(おきのみや)」原作は、今に生きる人々を、天草四郎を通して海の向こうにある異界へと誘う物語です。

登場するのは、島原の乱で逝った天草四郎と、四郎の乳母の娘で四郎を慕っていた幼女「あや」。二人は天草の海辺で出会い、命を紡いでいきます。乱のあと、村は干ばつに苦しみ、「あや」は雨乞いの人柱となって、雨の神・龍神のいる「沖宮」に向けて船出するのです。

その舞台化がこの秋、熊本(10月6日)を皮切りに京都(同20日)、東京(11月18日)で実現します。実は石牟礼さんは生前、かねてから交流のあった京都の染織作家・志村ふくみさんの手掛ける能衣裳を、舞台では使いたいと熱望していました。それに応えるために京都で「二人の願いを叶える会」が立ち上げられ、熊本公演に向けては地元有志による実行委がお手伝いすることになりました。

その熊本実行委が、関連イベントとなるシンポジウムを7月14日午後2時から、熊日本社で開きます。テーマは「新作能『沖宮』を語る―石牟礼道子と志村ふくみの世界」。パネリストは、石牟礼さんの仕事を長く支えてきた思想史家の渡辺京二さん、熊本大准教授の跡上史郎さん、そして若手作家・坂口恭平さん。進行は詩人の伊藤比呂美さんです。能「沖宮」だけではなく、「石牟礼ワールド」の神髄が聞こえてくるかもしれません。

(純)

本番の舞台の能衣裳を手掛ける染織作家・志村ふくみさん

本番の舞台の能衣裳を手掛ける染織作家・志村ふくみさん

能「不知火」上演の際にあいさつする石牟礼道子さん(2004年、水俣市)

能「不知火」上演の際にあいさつする石牟礼道子さん(2004年、水俣市)

Information

「新作能『沖宮』を語る ―石牟礼道子と志村ふくみの世界」

日時:7月14日(土)午後2時~(約2時間)
会場:熊日本社2階ホール(中央区世安町172)
入場料:1000円 定員:200人
※当日入場も可ですが事前予約をお勧めします。
申し込みは原則メールで。住所、氏名、連絡先、
枚数を明記の上、sui3anan@gmail.comへ。
問い合わせ:橙書店 TEL:096-355-1276