奈良・薬師寺慈恩殿に来年奉納 独自の障壁画14面など事前披露

来年、薬師寺(奈良県)に奉納される細川護熙さんの障壁画などを紹介する展覧会が、熊本市の県立美術館本館で開かれています。

細川家18代当主の細川さん(80)は、元熊本県知事で元首相。現在は政界を離れ、神奈川県湯河原町で陶芸や書、絵画などの芸術活動を行っています。障壁画は、1300年以上の歴史をもつ薬師寺(法相宗大本山)の慈恩殿(じおんでん)から2012年に依頼されたもの。玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)の弟子・慈恩大師にちなむ同殿のふすまと壁66面を114枚で埋める予定。今回は、来年9月の奉納式典を前に、14面(22枚)を展示しています。

障壁画の主題は「東と西の融合」で、インドから中国に仏教の経典を持ち帰った玄奘の旅がモチーフ。明るい黄色をバックに、釈迦のシンボルである「菩提樹」や、楽器を奏でる人々が楽しい「衆人奏楽図」、優雅に舞う「天女」などが生き生きと描かれています。西洋の古典技法・フレスコ画の顔料を塗り重ねた独自の技法ということです。「ただ心だけが存在する」という玄奘三蔵や慈恩大師が広めた教えを、じんわりと感じることができました。

「衆人奏楽図」(部分)

「衆人奏楽図」(部分)

慈恩殿の内部模型や画材なども展示してあるほか、「信楽童子像」や「志野茶碗」など細川さんの陶芸作品4点も紹介されています。
(すぱいす・嶋)

Information

会期:11月18日(日)まで
9:30~17:15(入場は16:45まで)
月曜休館
会場:熊本県立美術館本館別棟展示室(中央区二の丸)
TEL:096-352-2111
観覧料:一般700円、大学生500円、高校生以下無料

「志野茶碗」

「志野茶碗」

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熊日事業部

TEL
096-361-3383