稲作、装飾古墳、菊池一族… 流域の歴史振り返る文化財一堂に

菊池川は、熊本の歴史にとって重要な地域であったことをご存じでしょうか。菊池川流域では、弥生時代から2000年にわたって米作りが続けられ、それによって蓄積された富により、豊かな文化が育まれました。中でも、装飾古墳の数は全国の2割近くを占め、全国トップクラスです。和水町の江田船山古墳など多くの古墳で、華麗な副葬品や装飾文様が確認されています。また、菊池川河口の高瀬や伊倉は港湾都市として発展し、大陸から陶磁器をはじめとした文物が持ち込まれ、交易の玄関口となりました。

平安時代には、菊池一族が歴史の表舞台に登場します。鎌倉時代の元寇や南北朝時代の動乱で活躍し、教科書でおなじみの蒙古襲来絵詞には、彼らの勇壮な姿が描かれています。南北朝時代以降は、肥後の名族として、九州の誰よりも注目される存在となります。さらに、流域各地に中世の仏像が数多く残っていることも見逃せません。

太刀 元国

《太刀 元国》刃長114.8cm、県指定重要文化財。室町時代の延寿派とみられる刀工の作。南関大津山弾正の刀か(藤崎八旛宮所蔵)

こうした歴史を振り返る本展では、菊池川や菊池一族にゆかりのある国宝1件、国指定重要文化財14件を含む、およそ110点の文化財が一堂に会します。この機会をお見逃しなく、ぜひご観覧ください。
(熊本県立美術館・萬納恵介学芸員)

《蒙古襲来絵詞(大矢野家本)下巻》石塁に居並ぶ菊池勢の前を通る竹崎季長=部分(個人所蔵 熊本県立美術館寄託)

Information

会期:~9月1日(日) 9時30分~17時15分(入館は16時45分まで)
休館日:月曜(8月6日~18日は連続開館) ※会期中、一部展示替えあり
観覧料:一般1000円、大学生800円、高校生以下無料

お問い合わせ

【会場・問い合わせ】熊本県立美術館本館

住所
熊本市中央区二の丸
TEL
096-352-2111