応援のパワー

2月17日朝、私はスタートラインに立つことができた。
今から始まる未知の世界へのドキドキ感と、『絶対完走する!』と大口たたいたプレッシャーと、体がもつかの不安と。いろいろな感情が入り交じり、すでに感極まり泣きそうだった。
しかし、それ以上に楽しみだった。

9時2分、号砲が鳴った。私は一番後ろのエリアからのスタート。10分ほどで、本当のスタートラインを切った。私のタイムが計測される。
幾度となく通った、なじみのある道を駆け抜ける。何とも不思議な感覚だった。沿道の応援と、周りをぎっしりと取り巻くランナーに後押しされてか、足取りはとても軽かった。
実は、本番3、4日前に寝込んでいた。体調は決して万全とはいえなかったが、それを押し切るほどの大会の雰囲気にのまれ、私の体は徐々にベストコンディションへと変わっていった。

沿道の応援には本当にびっくりした。それは、どこまで進んでも途切れなかった。そして、確実に私たちランナーのパワーとなっていた。
楽器や歌でおもてなしされたり、ハイタッチしてくれたりした。「がんがれ~!」と覚えたての言葉を叫んでくれる小さな子どもや、応援しながら泣いてる人もいた。お目当てのランナーの名前入りのうちわを持ちながらも、全てのランナーを応援してくれたり、あめやチョコを渡してくれる人もいた。とにかく沿道の全ての人が、思い思いの応援をしてくれた。決して大げさじゃなく、熊本中が一つになっている気がした。
そして、たくさんのボランティアの方々も、自分の作業をしながらも、激励の声をかけてくれる。本当にありがたかった。

途中の給食の種類の多さにもびっくりした。バナナやおにぎり・パン、イチゴやトマト、あめなどのほかに、熊本のお菓子や太平燕まであった。
自分がランナーになる前は、食べながら走るなんて、と思っていたがなんのその。ものすごくお腹がすくし、食べないと力が出ないのだ。たくさんの給食にもパワーをもらった。

何よりパワーになったのは、やはり家族の応援だった。移動も大変だったろうに、何か所も先回りして沿道にいてくれた。
夫と娘、そして両親の姿を見たときは、これまでにないパワーがみなぎってきた。

走ることが嫌いだった私は、これまで正直、「応援されたからって、きついもんはきつい」と思っていた。しかし、違った。応援されると明らかにモチベーションが変わり、きつさ、つらさは激減する。人の言葉や笑顔が持つパワーを身をもって感じた。

42.195km。自分だけの力では絶対に頑張れなかった。