村上美香のヒトコトつれづれ

父のいとこであり大親友であり、私も大好きだった昭一おじさんが天国に旅立ちました。奥様を献身的に介護し、見送った経験を持つ優しいおじさん。5年前、母が急逝し憔悴(しょうすい)していた父に、洗濯や料理など「男が一人で生きていく術(すべ)」を教えてくれました。パートナーを亡くした者同士、よほど気が合うのか、チャンバラで遊んだ子どもの頃のように、2人は会えばいつもふざけあい、父にも笑顔が戻っていきました。

私も時々、2人に連れられて焼き鳥屋さんに行きました。2人は順番でボトルをキープし、私がいつもボトルに名前を書いていました。そんなおじさんが亡くなって、1週間。久しぶりに父といつもの焼き鳥屋さんへ行きました。

私たちがカウンターに座ってすぐ、オーナーが出してくれたのは「昭一おじさん」と書かれた焼酎のキープボトルでした。「さみしかね」と私が言うと「しょんなかたい」と父。父はマスターに、おじさんは父より1つ年下なこと、急に亡くなって驚いたこと、おじさんの名前のボトルを出してくれて、うれしかったことなどを話していました。

そして帰り際。マスターが「お父さん、俺たち同じ年だけん、また顔見せに来てよ」と声を掛けてくださいました。父は、マスターが同年齢と聞くと、とてもうれしそうで「あた、まだまだ現役ね。励みになるよ」と握手を交わしていました。最近は飲みに行くのもすっかり減ってしまった父ですが、マスターに「また必ず会いに行く」と約束していました。

おじさんとの思い出の詰まったボトル


Profile
村上美香

1971年、熊本市生まれ。第一高、熊本大文学部卒。94年に熊本県民テレビ(KKT)にアナウンサーとして入社。夕方の人気番組「テレビタミン」を21年間担当し、「みかちゃん」の愛称で親しまれた。2018年春、同番組を引き継ぎ、KKTも退社。「ヒトコト社」代表。ホームページはhttps://hitokotosha.com