令和初日の誓い
改元初日。書道家・杭迫柏樹(くいせこ・はくじゅ)先生の元号揮毫(ごう)イベントに行きました。84歳の杭迫先生は日展の名誉・特別会員で、国内はもちろん、ニューヨークのメトロポリタン美術館など海外にも作品が所蔵されるなど、日本の書道界をけん引する方です。
180センチ×90センチの紙に「令和」の文字を記す姿は迫力の塊。まるで身体から炎が出ているような熱気を感じました。そして仕上がった文字の美しさに圧倒されました。聞けば杭迫先生は毎朝4時に起きて、3時間ひたすら文字を書くそうです。そんな先生がおっしゃったヒトコト。それは「手書きの文字には魂が宿る。気を抜くと速書きになってしまいますが、私はできるだけゆっくり書くようにしています」とのこと。
さて、私はどうか。子どもの頃は丁寧に文字を書いていた覚えがありますが、気が付くとサササッと簡単に書いています。それどころか、文字自体を手書きで書かなくなってしまいました…。反省です。
「令和」の文字を揮毫する書道家・杭迫柏樹先生
イベントが終わって杭迫先生にお礼状を書くことにしたのですが、これがまた緊張しました。「手書きの文字には魂が宿る」と言われた手前、パソコンで書くわけにはいきません。しかも相手は日本を代表する書道家です。一朝一夕に美しい文字は書けませんが、いつもよりもゆっくり書いてみました。すると、うまくはありませんが、心がたっぷりこもった手紙が書けた気がしました。「手紙はできるだけゆっくり書こう」と思った令和初日でした。
Profile
村上美香
1971年、熊本市生まれ。第一高、熊本大文学部卒。94年に熊本県民テレビ(KKT)にアナウンサーとして入社。夕方の人気番組「テレビタミン」を21年間担当し、「みかちゃん」の愛称で親しまれた。2018年春、同番組を引き継ぎ、KKTも退社。「ヒトコト社」代表。ホームページはhttps://hitokotosha.com。
コメント
0