生涯現役 人生の先輩

私が大切にしているヒトコトは「人はカラカラに乾いた雑巾のようであれ!」。その言葉を下さったのは、郷土料理研究家・松永喜美子先生です。阿蘇・高森町の田楽を観光資源として世に送り出した方なんですよ。

「テレビタミン」(KKT)初期の料理コーナーを担当されていた喜美子先生は、さまざまな食材を自在に絶品料理に変身させるプロ。材料の特徴はもちろん、失敗料理を復活させる方法など、どんな質問にも的確に答えてくださいました。そんな先生の言う「カラカラに乾いた雑巾」の意味は、「自分が学んで得たものは、できるだけたくさんの人と共有しなさい」ということ。知識や技術を自分の中にため込んでいると、それは水をいっぱいに含んだスポンジのようになって、新しい知識が入らず腐ってしまう。だから何かを学んだら手放して、自分を空っぽにして勉強しなさいということなんです。

憧れの人生の先輩、松永喜美子先生(中央)を囲んでパチリ

憧れの人生の先輩、松永喜美子先生(中央)を囲んでパチリ

当時70代後半でも常に学ぶ姿勢を持った先生の背中はまぶしく、私は憧れました。そんな喜美子先生に、久しぶりに会いに行きました。現在、先生はなんと95歳。今は施設に入所され、足腰こそ不自由ですが、お元気そのもので、話の中でお料理の知識が次々と湧いてきました。先生の前では、やがて定年を迎えるテレビ局の先輩方も「ひよっこ」。カリカリ梅に合う梅の選び方や煮山椒(さんしょう)の失敗しない作り方など、先生の言葉ヒトコトも逃すまい、とみんなでお話を聴きました。生涯現役の人生の先輩。今もやっぱり憧れです!


Profile
村上美香

1971年、熊本市生まれ。第一高、熊本大文学部卒。94年に熊本県民テレビ(KKT)にアナウンサーとして入社。夕方の人気番組「テレビタミン」を21年間担当し、「みかちゃん」の愛称で親しまれた。2018年春、同番組を引き継ぎ、KKTも退社。「ヒトコト社」代表。ホームページはhttps://hitokotosha.com