【519号】平成28年熊本地震から4年 熊本城 復興の現在地

熊本地震から4年が経過しようとしています。熊本のシンボル・熊本城も甚大な被害から復旧・復興の途上にあります。立ち入り規制の中で着実にかつての雄姿を取り戻しつつある熊本城の“いま”を取材しました。

この4年間で復旧は大きく進みました。一つは、20年にわたる計画をまとめた熊本城復旧基本計画の策定(2018年3月)です。2018年7月23日に、大天守で石垣の積み直し作業が始まりました。すでに大天守外観は復旧を完了するなど、少しずつ往時の姿を取り戻しています。さらに昨年10月には特別公開第1弾がスタート。原則日曜・祝日のみ熊本城本丸の一部を見学できるようになりました。

復興城主はじめ、企業・団体からもさまざまな支援をいただいたこと、そして“文化財”としての価値を守りつつ復旧するという方針を多くの方々にご理解いただいていることが、順調に進んでいる大きな要因です。特別公開第2弾は延期となりました。特別見学通路から、平日でも皆さんに熊本城を見ていただける日を楽しみにしています。

左は外観復旧が完了した大天守、右は外観の復旧工事が進む小天守

熊本城総合事務所
網田 龍生 所長


雄姿を取り戻す工事進む 新しい工夫や発見も

目に見えて工事が進んでいる「天守閣」「飯田丸五階櫓(やぐら)」「長塀」の3カ所をクローズアップ。特別公開第2弾は延期となりましたが、気になる復旧へのギモンについてもご紹介します。


天守閣(大天守・小天守)

大天守外観は復旧完了 小天守は外観工事の真っ最中

大天守(地上6階・地下1階)と小天守(地上4階)からなる天守閣。熊本城復興のシンボルとして早期復旧が進められており、これまでに石垣の積み直しとしゃちほこの設置が完了。大天守は外観復旧も完了し、工事用の足場も解体されたことから、りりしい姿を再び見られるようになりました。現在は内装工事の真っ最中です。小天守は外観工事が進んでおり、天守閣全体の復旧完了は2021年春ごろを予定しています。

特別公開第1弾のルートから見た天守閣

大天守6階の内装

【熊本地震による被害】

瓦やしゃちほこが落ち、壁や柱、土台の石垣も大きく損傷

[注目]最新技術で耐震性アップ!

天守閣は屋根を軽量化し、制震ダンパーを導入。小天守石垣の一部には、石垣の裏に詰められている小石“ぐり石”の間に鋼材と繊維を格子状に編み込んだ特殊なシートを敷いて補強するなど、安全性も向上しています。

石垣の裏の“ぐり石”に敷いた特殊シート


飯田丸五階櫓

奇跡の一本石垣と櫓の解体が完了

地震後、「奇跡の一本石垣」と呼ばれ全国的に注目を集めた飯田丸五階櫓。地震後、櫓の倒壊防止措置として、櫓の上部よりアーム状の鉄骨の支えを設置する工事が行われました。その後、下から櫓を支える構台が出来上がり、アーム状の鉄骨は解体。櫓の解体と部材の格納が完了した後、構台と石垣の解体が行われ、2019年5月に石垣の解体は完了しました。

【熊本地震による被害】

石垣が崩落し、櫓の一角が石垣一列で支えられている

[注目]築城当時の石垣が露出!

石垣の解体工事をしていた昨年2月、もともと見えていた石垣の内側から古い時代の石垣が見つかりました。加藤清正が築城した当時の石垣とみられています。

奥の石垣が築城当時のもの。埋没していたので石は劣化せず、きれいな状態


長塀

既存の部材を再利用して元の姿へ

熊本城で中心繁華街から見て最も近くにある長塀は国指定重要文化財。まず、長塀すべてを一度解体し、価値を損なわないように既存の部材を極力使用して元の状態に組み立て直すという復旧工事が進められています。現在はほとんどの壁板が設置され、瓦や基礎部分の工事中。復旧完了予定は2021年1月です。

工事の様子が見えるようにと工夫された足場と防護ネット

【熊本地震による被害】

塀の東側100mほどが倒壊。ほか、傾きが生じた部分も

[注目]江戸時代の遺構発見!

復旧工事に先立ち行われた発掘調査で、地中から長塀の江戸期の瓦片が見つかりました。遺構は埋め戻され、復旧のための基礎部分の工事は遺構を避ける形で行われています。

発見された瓦片


NEWS!

間もなく完成、 特別見学通路 特別公開第2弾は延期が決定!

行幸坂から石垣を乗り越え、数寄屋丸、二様の石垣の南側を通り、本丸御殿の手前へとつながる空中通路「特別見学通路」の建設が大詰め。特別公開第2弾が始まれば平日も観覧できるようになります。地上約6mの高さから眺める熊本城は、今までになかった視点。復旧が進む部分と地震後のままの部分、熊本城の“今”を見ることができます。

特別見学通路は石垣に影響を与えないように建設

特別見学通路の完成イメージ

復旧の最新情報や特別公開第2弾の詳細はホームページ
https://castle.kumamoto-guide.jp/grand-unveiling/)で発信中


復旧のギモン 1

なぜ復旧には20年もかかるの?

理由は、文化財としての価値を守りながら復旧工事を進めているため。熊本城は国の特別史跡に、宇土櫓など13の建造物は国の重要文化財に指定されています。その価値を損なわないことを大前提に、調査や復旧方針の検討など、たくさんの手順を踏みながら丁寧に進められているのです。


復旧のギモン 2

今後の復旧スケジュールは?


ボランティアガイドに聞く 今こそ見てほしい熊本城

熊本城をはじめとした市内の観光文化施設でボランティアガイドを行う一般社団法人「くまもとよかとこ案内人の会」に伺いました。

防衛力に秀でた「竹の丸」からの通路

熊本城南側の「竹の丸」から「数寄屋丸」へつながる通路は、敵の侵入を防ぐ重要拠点。複数回折れ曲がっており、某テレビ番組でも「やりすぎ」と紹介されたほど防衛を重視した造りになっています。地震で崩れた現在の姿と、攻略の難しさを特別見学通路から眺めて実感してみてください。

会長 吉村 徹夫さん

高い視点からの「二様の石垣」

勾配が緩やかな築城当時の石垣(写真右)と、細川時代に増築された勾配が急な石垣(写真左)が並ぶ名所。特別見学通路からは間近に石垣を望めるので高さや勾配がよりリアルに感じられると思います。

副会長 本山 素子さん

●「くまもとよかとこ案内人の会」の詳細はHP(https://www.k-yokatoko.com/)参照