【520号】すべてのニューカマーに捧ぐ! 工事郎の即席 熊本人養成講座

この春、転勤や進学で引っ越してこられた皆さん、熊本へようこそ! そんな皆さんに熊本を知ってもらおうと、連載「ぎゃんときゃぎゃん言う」でおなじみの工事郎さんに、熊本弁と郷土料理を教えてもらいます。 すぱいす初のオール熊本弁特集。これを読めば あなたも熊本人!?

いきなりディープな熊本教えます。

そん土地になじもうて思うたら、土地の言葉ば覚えるとが一番。熊本弁の基礎ばこっで覚えて、びゃんびゃん話してはいよ。まちごうたって構やせん。熊本んもんな優しかけんな。ついでに代表的な郷土料理「いきなりだご汁」も、バアちゃんに由緒正しか昭和の作り方ば習うたけん、作ってみてハイヨ。

その土地になじもうと思ったら、土地の言葉を覚えるのが一番。熊本弁の基礎をこれで覚えて、どんどん話してください。間違っても構いません。熊本の人は優しいですから。加えて、代表的な郷土料理「いきなりだご汁」も、おばあちゃんに由緒正しい作り方を習ったので、作ってみてくださいね。


取りあえず こるば知っとけばヨカ 熊本弁講座入門編

ばってん、そぎゃん、タイ、バイ

基本的に熊本弁で使うのはこの4語で十分です。

「ばってん、急にはでけまっせん」

「けれど、急には無理です」

工事郎
熊本市東部出身の元熊日記者。夕刊に長く熊本弁のコラムを連載。「ななな、ななななな?」「右さん左さん ぎゃんぎゃん」の「熊本弁コージ苑」シリーズを熊日出版より出版。本物の広辞苑よりためになる、と人気を呼ぶ(本人談)。趣味は山登り、写真、ドローン、庭木の手入れ。

「ばってん」は「けれど」。けれどそのまま使うと角が立ちます。「ばってん、あたは違うごつ言いなはったですタイ」などと言うのはきつい使い方で、丁寧な言い方は「そるばってん」。「そるばってんですタイ」と柔らかく反論しましょう。
次の「そぎゃん」は「そう」(同意の意味)。
これも「そぎゃん、そぎゃん」と使うのはやや粗雑な言い方です。「そぎゃんですなあ」。ぜひこっちで覚えましょう。

最後に「バイ」と「タイ」。この使い分けはちょっと難しいのですが、「タイ」が一般用語です。

「あたのおっしゃる通りですタイ」

「あなたのおっしゃる通りですね」

これは、やや適当な同意で、「本当にそうだ」と思うときは「バイ」の方を使います。完成形は

「あたの言いなはる通りですバイ」


イカの法則

「忙しかようですねえ」

「忙しいようですねえ」

「暑い」は「暑か」、「寒い」は「寒か」。
形容詞の「い」は「か」に変化する「イカの法則」はぜひ覚えたい。

熊本らしさが増しました。さらに熊本らしさを出すなら…。
「忙しかごたっですねえ」


必須は「あとぜき」「飲み方」

「あとぜきせんか、すーすーすっタイ」

「後をちゃんと閉めなさい。隙間風が入るじゃないか」

これが分からねば熊本人とは言えません。「あとぜき」は「あとをせく(閉める)」の略。

次に大事な言葉は「飲み方」。「宴会」です。おっと、大事なのを忘れてました。
宴会に着くなり飲み物を聞かれて。

「さしよりビール」

「取りあえずビール」

九州の人は男も女も、みんな酒が強いと思われていますが、そんなことはありません。強い人も弱い人もいます。

「飲んでせいぜい、焼酎4合くらいだけん」と県外の友人に言ったら、

「それは十分強いほう」とたしなめられました。

遠慮して減らしたのに…


適当に作ってうまい 昭和版 レトロな味 「いきなりだご汁」を作る

「県外から来た人のために、工事郎さん、いっちょなんか料理して」て言われて一番に思いついたつ(の)は、熊本の郷土食「いきなりだご汁(じゅっ)」。最近食ぶっ(食べる)、だご汁は上品かつ(なもの)ばかり。作るのは戦後の昭和に作られていた、昔ながらのレトロ「だご汁」。んなら、はまって(気合入れて)いくバイ。

※からいもを皮で包んだ「いきなり団子」が入った汁物

用意すっとは…

材料

具がゴボウ、ニンジン、大根、揚げ、マイタケ、ネギ。それと主役のだごに使うからいも、中力粉、みそ。だしを取るイリコ。

ぎゃんして作っと

作り方

量は中鍋で4~5人分作るなら、中力粉が300gくらい。あとは写真ば見て判断してハイヨ。量は適当。なんせ名前が「いきなり(粗略な)」だけん、細からしい(細かな)事は言わんと。あんまり具が多かと、だごば入れられんばい。

いきなりだご汁は、昔はからいものできた秋に、山から取ってきたススキや萩を飾って、月見しながら食べたてタイ。昔の人は風流なあ。


スタート

1 だしば取る

イリコば煮てだしば取っておいてはいよ。

イリコは煮てだしを取っておく。


2 そぎ切りにすっ

ゴボウとニンジン、大根ばそぎ切りにする。「だご汁はそぎ切りでなかと、味の出らん」ていうもんなあ。
ごぼうは水にさらしてあく抜き。

ゴボウとニンジン、大根をそぎ切りにする。「だご汁はそぎ切りじゃないと、味が出ない」と言うもの。

材料は5人分でこのくらい。大根も太かつ、こまかつあるし量は適当タイ

手の黒かとは地黒(じぐろ、生まれつき)。ちゃんと洗うとります(笑)。材料はそぎ切りに


3 いもば輪切り

からいもば1cm強の厚さに輪切り。そのあと、ふちを削る「面取り」ば忘れんごつ。いきなりだごは、からいもの煮崩れせんごつ、だごでくるんだグッドアイデア。煮崩るっと、いもが流れ出て、汁のあーもなってちっとん、うもなか。だごの皮が薄うなって破れんごて、面取りすると。

からいもを1cm強の厚さに輪切り。「面取り」を忘れないように。いきなり団子は、からいもが煮崩れしないように、団子でくるんだアイデア料理。煮崩れるといもが流れ出て、汁が甘くなり、ちっともおいしくない。団子の皮が薄くなって破れないように面取りする。

輪切りにしたからいもの面を取る。 皮は残す


4 だごばこぬる

ボウルに粉を入れて上から水を垂らしたら、箸でかき混ぜて、また水を垂らしてを繰り返し、それから手でこぬっと、手にひっつかん。塩水で手をぬらしとくのもよか。

それから手でこねると、手にくっつかない。塩水で手をぬらしておくのもよい。

団子をこねる。 こねたらしばらくねかす


5 丸むる

粉を振った板の上にだごをちぎって小餅くらいの大きさに丸める。それでからいもを包む。破れんごつ丁寧に。こるから先は煮るだけ。

破れないように丁寧に。これから先は煮るだけ。

からいもをだんごで包む。薄いところがないように上手に


6 煮っ

ニンジン、大根、ゴボウ、マイタケ、揚げを入れて煮立ったら、丸めたからいもを入れる。20分ぐらいかかるかいなあ。竹串で刺して良かあんばいになったら、みそを溶いてちょびっと煮て、最後にネギで完成タイ。いもば入れてしばらくしたら、沈んだいもが底にひっつかんように、かいじゃくしの背で、そろーっと押して動かすとがコツたい。

竹串を刺して良い具合になったら、みそを溶いて少し煮て、最後にネギを入れて完成です。いもを入れてしばらくしたら、沈んだいもが底にくっつかないように、お玉の背でそっと押して動かすのがコツです。

団子を汁になんこむ(投げ込む)。 煮えたらみそを溶いてネギを入れて完成


7 いただきまーす!

「いきなりだご汁」は、どっちかというとおかずではなく、主食。ご飯を添えるならおにぎりがよか。写真の中鍋にいもば10個なんこんだら5人分は十分あったです。味は?昔ながらの作り方でうまかろか、半信半疑だったバッテン、うまかったなあ。もしうもなかったなら、そら、材料の悪かか、腕の悪かつタイ。ちった手はかかるばってん熊本の味だけん、一回は子どもさんと一緒に作って、古里の味ば教えてハイヨ。

写真の中鍋にいもを10個投げ込んだら、5人分は十分ありました。味はというと、昔ながらの作り方でおいしいだろうかと半信半疑でしたが、おいしかったです。もしおいしくなかったら、それは材料が悪いか、腕が悪いかです(笑)。少し手はかかりますが、熊本の味なので、一度子どもさんと一緒に作って、ふるさとの味を教えてください。

自分で言うとも何ばってん、 うまかだご汁のでけた