【522号】のぞいてみよう!動物の子育て

春は多くの動物たちが出産・子育てを始める季節といわれます。哺乳類や鳥、魚など、どの親もみんなわが子を独り立ちさせるために励みますが、そこには、私たち人間と同じような苦労や驚くべき子育て術など、意外と知らないことがたくさん。そんな動物親子の世界をご紹介します。

みんな一生懸命 子育ては千差万別!

哺乳類をはじめ、魚、鳥、昆虫などの子育てエピソードを阿蘇カドリー・ドミニオンと熊本博物館に聞きました。

エゾヒグマ

生息地/北海道

母ワンオペ育児でいつもピリピリ

エゾヒグマは、冬眠している1〜2月に、一度に2〜3頭を出産します。クマの子育ては、出産から独り立ちまでの全てを母グマだけが行う完全な「ワンオペ育児」。なので、当施設で出産・子育てを経験したエゾヒグマ・こうめの場合も、育児疲れからか、時には写真のような表情になることがありました。

母親は、外敵に襲われるなどの危険がないかといつも気を張るピリピリ状態。自分のご飯も後回しに、子グマが泣けば飛んで行き、慣れないスタッフが触れようものなら本気で怒っていました。出産から3年後、こうめは母としての務めをしっかりと果たし、子どもたちは独り立ちしました。(2014年〜16年のエピソード)

育児に疲れ果てた表情の母グマ・こうめ

教えてくれたのは

阿蘇カドリー・ドミニオン 飼育員
下田龍之介さん

フンボルトペンギン

生息地/南アメリカ沿岸部

双子育児にのしかかる平等の難しさ

当施設でフンボルトペンギンの双子が生まれた時、片方の子ども・シフォンだけ体重が増えないという事件が起きました。父・あんこが、なぜかもう一羽の子ども・タルトにだけご飯を与えてしまうのです。餌を2羽に平等に与えることができない父は、シフォンに小石や木の葉などを与える始末。父親なりに双子に餌を与えていたつもりだったと思うのですが…。その後シフォンは人工育雛(いくすう)に切り替え、その後、2羽とも無事に成長しました。(2011年6月のエピソード)

本当の親は分からずとも…

ある時、アリカとセレナの雌同士のペアが卵を温めていました。この卵を産んだのはどっち? 父親は誰? 2羽とも雄との交尾の確認はできたものの、結局、父親は分からないまま。2羽のお母さんに育てられたひなはすくすくと大きくなりました。(1999年12月のエピソード)

教えてくれたのは

阿蘇カドリー・ドミニオン 飼育員
宮尾真次さん


【取材協力】 阿蘇カドリー・ドミニオン

※上記の動物たちは、現在も同園で暮らしています

阿蘇カドリー・ドミニオンでは今年1~2月、ニホンツキノワグマの赤ちゃんが7頭誕生しました。
ホームページで名前を受け付け中!

https://www.cuddly.co.jp/

店舗情報

阿蘇カドリー・ドミニオン

住所
阿蘇市黒川2163
TEL
0967-34-2020
営業時間
開園/10時~16時30分
休業日
12月〜2月の水曜(冬休み、祝休日は除く)

コオイムシ

子育ては多くの動物の本能的な行動

自然界には親が子を保護し、餌を与える、という行動を取る生き物はたくさんいます。中には、私たち人間が驚くような方法が取られることもあります。

例えばコブハサミムシは母親自らが餌となり、子どもに与えます。また、放し飼いのニワトリの場合、育児の経験が浅いと、子どもたちが敵に狙われても鳴きもせず、そのままさらわれてしまうことも。昆虫のコオイムシは、人間で言うところのイクメンです。雄は卵を背負って守り、外敵に見つからないようひっそりと背中を水面に出して呼吸させます。人間以外の生き物に、父性や母性があるのかはちょっと疑問ですが、多くの生き物に見られる、子を育てる行いは、本能的な行動だと思われます。


ナイルティラピア

絶食も子のためと思えば頑張れる!?

雌が自分の口の中で稚魚を育てる口内保育を1カ月近く行います。泳ぎ始めた子どもたちも、外敵が来ると一斉に口の中へ。その数なんと約2000匹! その間、親は絶食です。


カイツブリ

生息地/北極・南極を除く全大陸
全長/25cm〜29cm

おんぶスタイル 餌は口移し

ひなは巣から出た後、しばらくは親の背にすぐ上ろうとするため、餌となる魚をおんぶされたまま口移しでもらいます。親は、たまに渡し損ねて魚を落としたときには、飲み込みやすいよう再度、バシャバシャと水の中でぬらしてから与え直します。


ベニツチカメムシ

生息地/西日本
全長/16mm〜20mm

餌まで与える珍しい昆虫

親は餌であるボロボロノキの実を巣まで運び、幼虫はストロー状の口を突き刺し、その汁を吸います。保護だけでなく、給餌までする昆虫は珍しいですね。

教えてくれたのは

熊本博物館 学芸員(動物)
清水 稔さん


【取材協力】 熊本博物館

店舗情報

熊本博物館

住所
熊本市中央区古京町3−2
TEL
096-324-3500
店舗ホームページ
https://kumamoto-city-museum.jp/
営業時間
開館時間/9時〜17時(入館は16時30分まで)
休業日
月曜(祝日の場合は翌日)※年末年始12/29(土)〜1/3(木)
料金
一般400円、大学・高校生300円、中学生以下200円 ※団体割引(30名以上)、年間入場券あり ※幼児、市内小・中学生は無料(名札か生徒手帳所持者)、障害者手帳または65歳以上の熊本市民で証明書をお持ちの方の入場料は無料
プラネタリウム観覧料
一般200円、大学・高校生150円、中学生以下100円 ※団体割引(30名以上)あり
駐車場
専用駐車場はありません。近隣の三の丸駐車場(有料)などをご利用ください

本で見る動物の育児

動物の親子をテーマにした図鑑や絵本なども多数出版されています。金龍堂まるぶん店の尾方友紀さんにオススメを選んでもらいました。

[図鑑]愛して育てるいきもの図鑑

子育ては大変?面白い? 生き物たちの頑張る子育てエピソードを紹介。

出版社/カンゼン
監修/今泉忠明
価格/1000円


[絵本]どうぶつのおやこ

文章は全くありませんが、とてもリアルで、温かみのある絵から親子の愛情が伝わってきます。

出版社/福音館
著者/薮内正幸
価格/800円


[コミックス]こちらアニマル社商品企画部育児課

動物から子育てを学ぶ!? 奥様が妊娠中の旦那様にぜひ読んでもらいたいコミックス。

出版社/イースト・プレス
著者/内野こめこ
監修/今泉忠明
価格/1000円


【取材協力】 金龍堂まるぶん店