熊本の旬な情報を発信しているKumarismと、熊本大学新聞社(大学公認サークル)が、大学生ならではの偏った目線でモノコトを熱く語ります!
Hatsuki(Kumarism)

実家の野菜を食べ、ヤギと鶏と走り回って育った。そんな生い立ちを語ると、ハイジか野生児に間違われる文学部3年の女子学生。


01 - カレーへの愛が半端じゃない!スパイス研究会

部活でもサークルでもない、スパイスについて勉強する研究会が熊本大学にある。わたしがこの研究会を知ったきっかけは、「Instagram」。スパイス研究会から突然フォローが来たのも無理はない。私の知人が研究会に所属していたのだ。

無邪気にはしゃぐメンバーやおいしそうなカレーの写真。なんだか面白そうな活動をしている研究会に驚かずにはいられなかった。

熊大スパイス研究会Instagram(@spiceyanjuihui)

熊大スパイス研究会Instagram(@spiceyanjuihui)

カレーをこよなく愛する代表の今林咲さん=文学部3年=は今年の春に研究会を立ち上げた。「急にスパイスに引かれだした」という今林さんは、元々カレー好きで、アルバイト先のスパイスが効いたカレーを食べてさらに好きになったそう。

スパイスの効能やカレーの作り方を勉強中の今林さん。

スパイスの効能やカレーの作り方を勉強中の今林さん。

今では、自分で作ったカレーを昼食に持ってくるほど。私は、今林さんから手作りのカレーを分けてもらったことがあるが、家で作ったとは思えないほどスパイシーでおいしかった。

「スパイス研究会をどうして作ったのか」。最も気になることを今林さんに聞いてみた。
「ただスパイスを勉強するだけじゃなくて…人と話すのは苦手だけど、人と関わるのは好きだったからその機会をつくりたかった」

今林さんは、大学3年生になってメンバーを集め始めた。まずは、研究室で知り合った仲間や友人。今では個性派ぞろいの 8 人が所属。カメラを向ければ、独特なポーズを決めてくれる。(笑)

今林さんが昼食に持参した「なすとじゃがいもの手作りカレー」

今林さんが昼食に持参した「なすとじゃがいもの手作りカレー」

また学内に1枚だけチラシを貼ってみると、それを見てメールをくれた子もいたのだとか。

チラシを見て研究会に所属したメンバーの中村玲那さん=文学部2年=に、スパイス研究会に入った理由を聞いた。「高校時代に学校の近くにあったインドカレー屋さんと出会い、カレーが大好きになりました。それからは家でもスパイスを自分で集めて、カレーを作っていました。私が、友達にカレー好きをアピールしていたこともあり、スパイス研究会のチラシをもらい、すぐにメールをしました!」

中村さんは、スパイス研究会の中でも、味見の際「一番頼れる舌を持つメンバー」として、一目置かれる存在。スパイス研究会には、かなりのカレー好きが集まっていることに驚いた。

普段の活動はスパイスの効能を調べるほか、料理教室を開き5~6種類のスパイスを用いてカレーを本格的に作るなど、カレーへの愛は半端じゃない。

「ここはどこ?彼女たちは誰なの?」
※ここは熊本大学。彼女たちがスパイス研究会のメンバー。

材料のほとんどを自分たちで調達! 今林さんのアルバイト先から一部スパイスをお借りしたそう。

材料のほとんどを自分たちで調達! 今林さんのアルバイト先から一部スパイスをお借りしたそう。

和気あいあいとした雰囲気の中で、カレー作りスタート。

和気あいあいとした雰囲気の中で、カレー作りスタート。


初めて研究会のメンバーで作ったカレーは、チキンカレーとベジカレーの2種類。料理教室を通してカレー作りの手順や奥深さを知ったそう。

スパイス研究会のユニークな点は、スパイスの勉強やカレー作りにとどまらないところ。手作りの料理を持ち寄ってビアガーデンを開いたり、「スパイス・ガールズ」と題して写真展をしたり…。

今林さんが「最初は 1 人で楽しくやれればいいかな」と思って始めたスパイス研究会は、今ではメンバーがいてこその研究会になっている。メンバーの一人一人が開放的で自由であるのに、仲が良いのは不思議。今林さんに理由を尋ねると、「 自己主張が強くて、自己中な人の集まりだよ(笑)。自分が一番自己中だし(笑)。だけど、 一人一人を尊重しているからこそ、きっと放っておけるんだよね」。

私は、スパイス研究会の活動内容やメンバーのことをもっと探るべく、10月15日(月)に行われた「第1回試作会」に密着してきた。この試作会は、紫熊祭(大学祭)の出店に向けたもの。

スパイス研究会メンバーが作ったカレーが、こちら!!

スパイス研究会メンバーが作ったカレーが、こちら!!

まずは、熊本大学近くの子飼商店街で材料の買い出し。

子飼商店街で、にんにくやトマトなどの野菜、お肉も調達。

子飼商店街で、にんにくやトマトなどの野菜、お肉も調達。

買い出しを終え、メンバーの家に着くと、今林さんが持参したスパイスをテーブルの上に広げる。

まず、使いたいスパイスと香りを確認して選ぶところから、カレー作りが始まった。

スパイスの香りを一つ一つかいでみる

スパイスの香りを一つ一つかいでみる

「いい香りが漂ってきた…。」と、わたしはウキウキ気分でしたが…。

油にスパイスの香りを付ける「テンパリング」の様子。

今林さんが「ん?なんだか焦げている匂いがしない?」と、動かしていた手をストップ。メンバーで香りを確認し、焦げていたことがわかると、「研究だからやり直そう(笑)」と、もう一度やり直す一幕も。スパイスは焦がすとうまくなくなってしまうのだそう。

私の衝撃的だったことは、スパイス研究会作るカレーには、カレー粉もカレールーも一切使用しないこと。しっかりとカレーの香りが漂ってくるのは不思議…。スパイスを知らなければ作れませんよね。

スパイスの香りの変化に気づいたメンバー

11月2日~4日に開催される紫熊祭(熊本大学大学祭)では、試行錯誤してレシピから考えたカレーが出店される。まだメニューは決まっていないそうだが、本祭3日間、毎日違うカレーを食べることができる。大人の味かもしれないが、はじめての味にぜひ飛び込んでほしい。スパイシーなカレー、個性的なメンバーに会えば、スパイスの奥深さに魅了されるだろう。

第1回紫熊祭に向けて作った、チキンカレー


編集後記

今林さんはインタビュー中にこんなことも語ってくれていた。「突然スパイスに引かれたように、そのときに湧いた感情を無視しないで大切にしたい」と。私が研究会のメンバーに少しの間密着させてもらった時間は、すごく自由で開放的だった。魅力あふれる熊大スパイス研究会の秘けつは、彼女たちのありのままの感情を素直にさらけ出せる、そんな関係性にあるのではないだろうか。