熊本の旬な情報を発信しているKumarismと、熊本大学新聞社(大学公認サークル)が、大学生ならではの偏った目線でモノコトを熱く語ります!
いっち(熊大新聞社)

アウトドアとお酒が大好きな大学生。暇な日はバーベキューや燻製してます。ソロキャンプも好きで、休暇のたびに原付であちこち出かけてます。


おいしい燻製ライフ 楽しみましょう!

燻製(くんせい)という言葉を聞いて、どのようなイメージを持つでしょうか? ベーコンだとかジャーキーなどの具体的な食べ物や、煙で食べ物を燻(いぶ)すやつ、といったようなことを思い浮かべる方がほとんどだと思います。

では、「自分で作るもの」と考える方はいらっしゃるでしょうか?

燻製を自作すると言われても、多くの方はピンとこないと思います。あるいは難しそうだからできっこないと、そのように考えたりもするかもしれません。でも実際はそうじゃないんです。ある程度の知識があったら誰だって簡単に燻製が作れちゃうんです。

ボウルと網で燻製

燻製は、食材の長期保存を目的に昔から行われている食材の加工方法です。食べ物を燻すことによって中の水分を取り除き、雑菌の繁殖を防ぎ腐りにくくする、昔の人の知恵と経験が編み出した伝統ある調理方法と言っても過言ではありません。ただ、ここでは保存を目的とするよりも、よりおいしく、より簡単に、そしてリーズナブルに燻製ができる方法を伝授したいと思います。

1つ目の方法は、ステンレスボウルを利用した燻製です。これは2/22付の紙面の方で少し紹介しましたが、ここでより詳しく説明させていただきます。

用意するものはステンレスボウル2つと、その直径よりやや大きめの円形の金網、そして燻製用の、木の粉末を固めて作られたスモーキングブロックです。どれもホームセンターに行けば手に入れられるものばかりです。

まず、ボウル1つの底にアルミホイルを敷きます。その上にスモーキングブロックを置いてガスバーナーで火を付けます。煙が出てきたら金網をのせ、その上に燻煙したい食材をのせ、最後にもう一つのボウルを上からかぶせてふたをしたら後は待つばかり。

ボウルの中に煙を閉じ込めて燻製中

ボウルの中に煙を閉じ込めて燻製中

室内であれば、換気扇の下に持って行ってちゃんと排煙しましょう。時々様子を見るために中をのぞきながら燻煙してください。2時間も待てばおいしい燻製が出来上がっているはずです。

初心者の方には、6Pチーズの燻製から始めることをお勧めします。食材の下処理が必要なく、並べるだけなので比較的簡単に作ることができます。

コツとしては、ボウルは大きめのものを使用してください。そうすることで、食材にスモーキングブロックからの熱が伝わりにくくなり、おいしく仕上がります。

燻製の方法はまだまだたくさん存在します。自分で編み出すことだってできます。自分だけの燻製を見つけて、おいしい燻製ライフを楽しみましょう!

生のささ身。ボウルは大きなものでなくてOK

生のささ身。ボウルは大きなものでなくてOK

約2時間で、鶏のささ身の燻製が完成。いい感じに燻されています

約2時間で、鶏のささ身の燻製が完成。いい感じに燻されています

盛り付け?

盛り付け?

ブロックとチップ

そもそも、基本的な燻煙の仕方としては、木の粉末をブロック状に固めたスモーキングブロックを使用する方法と、木をチップ状に砕いたスモークチップを使用する方法の2種類があります。それぞれの利点、問題点は順を追って説明していきます。

今回、紙面に載せた方法で使用したのはスモーキングブロックです。スモーキングブロックには、直接火を付けても煙しか上がらないという特徴がありますが、実はこれ、燻製にとって非常に重要なことなんです。

燻製には、熱燻と温燻、冷燻という3種類の燻製法が存在します。順に燻製の際の温度が低くなっていっているのですが、温度によって燻製の仕上がりが左右されます。温度が高いほど燻製が出来上がるまでの時間は短くなり、仕上がりは少し香りが強いものとなります。逆に温度が低ければ、燻製に時間はかかりますが、仕上がりは香りが穏やかなものになります。スモーキングブロックはその特徴から温燻、冷燻に適しており、香りを穏やかなものに仕上げたい時はこちらを使用します。

また、ガスコンロが必要ないというのもスモーキングブロックの利点に挙げられます。スモーキングブロックにはガスバーナーで直接火を付けられますが、もう一方のスモークチップは煙がよく出る反面、非常に燃えやすいので直接火を付けることができず、ガスコンロなどで下からあぶって使います。ガスコンロがない場合は、スモーキングブロックを使うことをお勧めします。

かなりスモーキングブロック寄りの説明ばかりになりましたが、スモークチップも十分燻製に使うことができます。前に書いた通り早く仕上がるというのが何よりの利点です。また香りが強くなるというのも、逆に言えばそっちが好みの方はスモークチップを使って自分好みの燻製を作ることができます。スモークチップもブロックの場合と同様、ボウルの底にアルミホイルを敷いてそこにチップを適量入れます。チップの場合は、直接火を付けるのではなく、下からコンロで80度くらいの温度を保つよう温めます。それぞれに利点、問題点があるので、要は使い分けが大事ということです。

段ボールスモーキング

2つめの方法は、段ボールを使った燻製です。これはステンレスボウルと違って、一度に大量に燻製をすることができます。

用意するものは、12Lくらいの大きさの段ボール(編注:2Lのペットボトル6本入りの箱程度の大きさ)と、その長辺より少し小さめの金網の2つだけです。燻製前の準備としては、まず段ボールの底から20cmほどの高さの所に、金網を差し込めるような切れ込みを入れます。この時、切れ込みから上の部分に、食材が十分に入る高さを残しておくのがポイントです。後はステンレスボウルのときと同様、底の方にアルミホイルを敷き、スモーキングブロックを置いたら段ボール薫製器の完成です。段ボールの体積が大きいので、煙の量が多いスモークチップを使いたいところですが、段ボールに火が移る危険があるので、スモーキングブロックを使用します。網の上に食材を並べ、ふたをして2時間ほど待てばおいしい燻製が出来上がります。段ボール燻製は、1度に大量に燻製ができるという利点のほかに、高さがあるので火元から食材がより離れ、冷燻に近い仕上がりにできる点もメリットです。そういった観点から見ても、穏やかな香り付けができるスモーキングブロックの方が相性は良いと言えます。

このほかにも、一斗缶を使ったものや、市販の燻製釜を使うものなど、さまざまなな方法があります。自分であれこれ試して、新しい燻製方法を作り出すもの面白いかもしれません。ぜひ色々なものに挑戦してみてください。

香りにこだわる

慣れてきたら、よりおいしさを追求してみるのも面白いのではないでしょうか。スモーキングブロックやチップは、原料の木にさまざまな種類があります。サクラやリンゴ、聞き慣れないところではヒッコリーなどがあり、食材に応じて変えていきます。一般的なところで言うと肉などには香りの強いサクラを使用することが多いです。ただ、食材と木の組み合わせはだいぶ好き嫌いが分かれるので、色々試して自分好みの組み合わせを探してみてください。

下ごしらえからこだわる

また、燻製の下準備として、「ピックル液」を用いた手法もあります。ピックル液も聞き慣れない言葉だと思いますが、ようは燻製前に食材を漬け込むタレのようなものです。作り方は簡単で、10%の食塩水を用意し、その中にペッパーや香草などを入れて一煮立ちさせた後、冷ましたら完成です。

 使い方としてはピックル液の中に燻製するもの(主に肉類)を漬け込み、一晩たったら食材を取り出し、今度は数時間水に漬けて塩抜きをします。水から取り出した食材の水気をしっかりと拭き取り、約1日、外で乾燥させてから燻煙します。ベーコンを作る際には1週間ほど液に漬け込みますが、鶏のささ身やビーフジャーキーを作る場合は一晩漬け込むだけでも十分味が付きます。

ピックル液に入れる香草なども自分で自由に決められるので、食材とのベストな組み合わせなど、研究してみてはいかがでしょうか。

さいごに

燻製は基本フリーダムです。自分の好きなようにやって、それが納得のいく出来だったら、それが正解です。この記事を読んで燻製をやってみたいと思われたら、ぜひ楽しんでみてください。自分だけの燻製法を見つけて、おしゃれに楽しく燻製ライフを満喫しましょう!