熊本の旬な情報を発信しているKumarismのメンバーが、大学生ならではの偏った目線でモノコトを熱く語ります!
Kiichi

高校時代は応援団に青春を注いだ教育学部の2年生。頑張る人を応援したい、紹介したいと願っている今日この頃。


バリアフリーマップ作成に奮闘する学生を追いかけて・・・

皆さんは「バリアフリーマップ」というものをご存じですか?
バリアフリーマップとは障害のある方々が一目でエレベーターや多目的トイレの位置などが分かる地図のことです。

今回取材した「熊本大学学生サポートサークル」の皆さんはこのバリアフリーマップ作成をはじめ、さまざまな障害がある方々への支援をしています。その活動を紹介します。

「熊本大学学生サポートサークル」について

2年生を中心に20名ほどが活動。このサークルの主な活動は「バリアフリーマップ作成」「ノートテイク(筆記翻訳)」「手話の勉強会」の3つです。学生サポートサークルはこの3つの活動をしている集団の総称で今回はその3つの活動の各リーダーにお話を聞きました。


①バリアフリーマップについて

今回、私は初めてバリアフリーマップの存在を知りました。例としてインターネット上にあったものを見ましたが、”一目で分かる”という特徴は私たち健常者にとっても、非常に便利なものであると感じました。

そんな中、作成する上での苦労を、リーダーの野邊力也さんに聞くと、悩みながらも「構内の情報を集めること」と一言。特に苦労したのがトイレの調査で、この広いキャンパス内には相当な数があり、その一つ一つを実際に車椅子で出たり入ったりしたそう。今では、トイレの広さ、機能、鏡の向きなどを見て点数をつけることができるようになり、サークルでファミレスに行った際、トイレに点数をつけて盛り上がることもあるそう。

バリアフリーマップリーダーの野邊力也さん、趣味はゲームで最近発売されたポケモンの新作がやめられないそう

今は、完成に近づいており、これまで調べてきた情報の中の不明瞭な点について、実際に足を運んで確認したり、webに載せる際、膨大な情報量をどう整理するかなど細かいところの工夫を試行錯誤したりしているそう。このバリアフリーマップは来年の入学式を目標に、熊大構内の地図として大学のwebにアップされるそうです。ぜひ活用してみてください。

また、次は視覚障害者のためのマップ作りに挑戦していきたいと野邊さんは不敵に笑いながらも瞳の奥に闘志を燃やして熱く語ってくれました。

図書館での活動の様子。実際に車椅子に乗って確認している

作成途中のバリアフリーマップの資料。サークル員が気づいたことなどとても詳しく記録されていました。特に、スロープは傾斜率まで記されているところに驚きました

試作中のバリアフリーマップ。熊大の黒髪キャンパス構内を詳しく調査しました


②手話の勉強会について

手話の勉強会について話を聞くために学生サポートサークル室を訪ねました。リーダーの福島優禅(かつよし)さんに会ってまず驚いたのはその髪形。なんとアフロでした。西日の逆光を受け、シルエットはまるでマリモ。気になりすぎてその理由を聞くと、福島さん「あー、昔のバンドにイーグルスっているでしょ? そのメンバーのドンヘンリーっていう人を尊敬しててアフロにしちゃったんだ」とのこと。野邊さんによると、福島さんはこの手話サークルでは名物キャラだそう。

手話を始めたきっかけについて、福島さんは「学部学科の授業で手話に触れた時、便利さに気付いた。手話があれば、声が届かないくらい離れた相手と会話ができるんだ。それってすごく魅力的じゃない?」と語ってくれた。

手話を「手で笑う手段」として「手笑(しゅわ)」と表現する福島優禅さん とてもユーモアな方で最近は、自分なりの手話を創造することにはまっているそう。ちなみに、この写真のポーズはバンドのWANIMAをイメージしています

手話の勉強会は毎週木曜の午後6時から7時半の間、外部の講師や聴覚障害がある方が教えに来てくれるそうだ。勉強スタイルは、自分たちで考えた文章を手話で翻訳して練習し、2人1組で発表していく。いざ勉強会が始まると、まず驚いたのはその雰囲気。勝手に真面目な雰囲気を想像していたが、福島さんを中心に終始笑顔が絶えなかった。福島さんは「部活ではない、サークルだから楽しくいきたい。でも、楽しむこととふざけることは違う。そのあんばいは難しいけど、絶対に楽しく学ぶ方が記憶に残るよね」と語ってくれました。

手話サークルのメンバーのうちの2人は今秋、手話検定を受け、今は結果待ち。一方、リーダーの福島さんもまた手話での弁論大会に向けての準備を進めているそう。これからの目標を聞くと「今まで通りにしていくだけ。自分のしてきたことが間違っていなければ結果は後からついてくるはず」と満面の笑顔で答えてくれました。これからも手話サークルのメンバーの活躍から目が離せませんね。

手話をする野邊さん(左)と福島さん(左)。 手だけではなく、顔や体全体を使って手話を行う様子に思わず、笑みがこぼれてしまいました


③ノートテイクについて

学生サポートサークルが直接支援する活動がノートテイク。あまり聞きなれない方も多いと思いますし、私もその中の一人でした。ノートテイクは、日本語では筆記翻訳や要約筆記といい、聴覚障害者のために講演などで発表者の内容を即時にパソコンに打ち、視覚的に内容を伝えるという支援方法です。

リーダーの木村勇人(はやと)さんは教養の授業で初めてこのノートテイクの実演を見た時、素直に「かっこいい」と思いノートテイクに参加することを決めたそうです。練習は週2回(月、金曜日の5限の時間)と少ないながらもそのタイピングスキルはとても優れているように感じました。

ノートテイクリーダーの木村勇人さん 絵が苦手だそうで、右下のパソコンの絵がうまく描けたと喜んでいました

聞くことと、打ち込むことを同時に行うだけに、その難しさは簡単に想像できます。木村さんは「リスニングとテイク(打ち込み)を同時にするのも大変だけど、それ以上に2人1組で行う時、聞いた内容を瞬時に自分の担当する部分と任せる部分に分け、パートナーと息を合わせることが大変です」と言っていました。

ノートテイクの仕方は、「IPtalk」という専用のアプリを使って、2人1組で聞いた内容を分けて交互にテイクしていくのだそう。実際のノートテイクではこの2人1組を2~3グループに分けて5分交代で回していきます。時間の短さからも、とてつもない集中力が必要であることがうかがえます。現在、熊大にはノートテイクを必要とする学生がいないことから、他大学の聴覚障害者のために出張で活動しているそうです。

取材の日は、新たな取り組みとして熊大にいながら他大学の学生のためにノートテイクができるような、いわゆる遠隔ノートテイクを試験的に行っていました。「技術の進歩で支援の幅は広がってきていると思います。そんな中で、自分たちもその技術を最大限に生かすために上達していかねばならない」と木村さんは話してくれました。

IPtalkというアプリを使い他大学と遠隔ノートテイクをしている様子

一方で、抱える問題として人手不足があり、気軽に練習に参加してくれる人が増えてほしいと切に願っていました。

2人1組でノートテイクの練習をしている様子 真剣な空気の中、時折見せる笑顔がとても活動を楽しんでいるように見えました


終わりに

熊本大学学生サポートサークルのバリアフリーマップ作成の中で、実際に試作品を作って見やすくするための意見交換を行う様子や、ノートテイクで少しでも速くタイピングをするために工夫、練習をする様子を見て、その献身的な態度は、自分が教育学部ということもあり見習うべきだと強く思いました。

また、どの活動でも真剣に取り組みながらも笑顔が絶えない雰囲気はとても心地が良く、もっと活動を知ってもらえれば自然と人が集まるように感じました。メンバーのほとんどが自分と同い年ということもありもらった刺激も多く、自分も負けないように今の大学の勉強や、その他サークル活動に情熱を注いでいこうと思います。