熊本の旬な情報を発信しているKumarismのメンバーが、大学生ならではの偏った目線でモノコトを熱く語ります!
Hatsuki
実家の野菜を食べ、ヤギと鶏と走り回って育った。そんな生い立ちを語ると、ハイジか野生児に間違われる文学部4年の女子学生。
卒業前の集大成!?文学部4年生に卒論作成の裏側を調査
卒業間近の私がよく聞かれるあること。それは「卒業論文(卒論)、何書くの?」という質問。大学生、特に卒業生の皆さんならば、一度は聞かれたことがあるのではないでしょうか? それもそのはず、卒論といえば、「大学生活の集大成」「大学生なら誰しも書いているだろう」といったイメージがありますよね? 実際のところ、卒論ってどんなことを書いているのでしょうか?卒論制作、真っただ中の私が一番気になります!(笑)
そこで今回は、現役大学生の卒論制作の裏側を調査したので、その結果を熱く語ります。調査した大学生は、すべて文系学生であること、女子学生率多めであること、ご了承ください。
卒業論文を持つ私、今回のために題目のみ変更したものを作成。
そもそも卒業論文を書かないと卒業できないの?
今回調査をさせてもらったのは、熊本大学文学部の4年生10名。熊本大学の文学部では、必修の授業単位の中に卒業論文の作成がカリキュラムとして組み込まれているため、卒業論文の提出は卒業の必須条件。それぞれの研究によって論文提出の条件は異なりますが、文字数は約2万字以上となります。
また、学部や研究室によっては、卒論ではなく、卒業検定(卒検)と呼ばれるテストが卒業の要件になっていることもあり、卒論は卒業に必須ではない場合もあります。
文学部の学生は卒論でどんなことを書いているの?
今回の調査に協力してくれた学生10名の卒論の題目(タイトル)はこちら。 ※( )内はそれぞれの研究室です。
・絵本にみられる動物描写が人間中心的認知に及ぼす影響(認知心理学)
・味覚単語と色・形の感覚間協応(認知心理学)
・大学生の服装における消費者行動(地理学)
・テレビ視聴がもたらす繋がり意識(社会学)
・ハリーポッターにおける血と死(コミュニケーション情報学)
・祭礼における担い手再生産の仕組み(地域社会学)
・高齢女性の社会参加における化粧の役割(地域社会学)
・戦後の福岡県久留米市における住民組織の変遷(地域社会学)
・現代子育てにおける都市・農村の地域差(地域社会学)
・糸島市の移住者(地域社会学)
調査に協力してくれた10名。
「う~ん、なんだか難しそうだけど、身近なワードが多いかも…」
このような印象を受けた方もいらっしゃるのではないでしょうか? それもそのはず、研究室にもよりますが、基本的に卒論で扱う題材は自由なんです!
例えば、普段、地域社会学を勉強している学生が「化粧(メイク)」を題材にする場合、化粧をした時としない時では、本人の気持ちや行動にどのような変化があり、社会に対してはどのような影響が生まれるのかーといった、化粧の機能や役割を明らかします。
このように、扱う題材はさまざまでも、研究の観点は専攻している学問を用いて卒論を作成していきます。
どうやって卒論のテーマを決めましたか?
先ほどユニークなタイトルを見ていただきましたが、4年生はどのようにして卒論のテーマを決めているのでしょうか。
卒論のテーマ選びの決め手、第1位は「興味があること(好きなことや趣味)」。せっかくするなら、「自分が楽しめる、苦痛にならないものを題材にしたかった」という学生が多い結果に。
2番目に多かった「地元のこと」をテーマに扱った人の理由として、「調査がしやすいこと」や「普段知っているようで知らない裏側を知りたい」との声がありました。また、就職活動が難航し、先生の勧めで題材を決めた学生もいましたが、自身の地元のことを題材に紹介してもらったため取り組みやすかったそうです。
卒論作成と就職活動はタイミングが被ることがほとんどですので、テーマ選びのための題材探しは、早めに行うのが良さそうですね。
卒業論文のテーマの決め方
卒論制作の手順とは?
卒論作成の手順の中で、もっとも研究室による特色が出るのが2番目の「データ収集」の仕方。データ収集を行うために、アンケートやインタビューの実施、文献・新聞を読み比べる、被験者を募り実験を行うなど調査の形は多種多様です。
卒論作成のおおまかな流れ
卒論は大変なイメージがあるけど、何が大変なの?
卒論で大変なことランキング第一位は、「組み立てや方向性の定め方」でした。構成や方向性は、これといって決められた形式があるわけではないため、どのように組み立てて行くかは模索していくことは書き終えるまで悩み抜きそうです。
また、文学部ならではの困難として、「データに関する解釈が様々生み出せるため、論理性をもたせることが困難」という声や、
聞き取り・アンケート・実験などの調査には、多い人では50人ほど関係者がいるため、関係者のためにも精一杯の論文を完成させないといけないと、プレッシャーを感じている学生もいました。(共感の嵐…。)
卒論を作成していて大変なことは何か。
卒業論文を書くことを通して得られているものは何ですか?
みんなの思う卒論を通して得られたものは、大きく分けて「新たな知識や経験」「自己成長」の2種類あるように思いました。
新たな知識や経験として、まずは卒論を通し、普段は聞くことができない裏の話を聞くことができたり、違った角度からの意見を得ることができたりします。
自己成長としては、卒論で重要な信ぴょう性や信頼性を確保するために、さまざまなデータを検討する力、正しい情報を収集するための質問力の重要性に気づいた人も多いようです。また、卒論に限らず言えることですが、自分が主導権を握って書く論文のため、積極的に動けば動くほどよい方向に進むことを実感できたという学生もおり、卒論は成長のきっかけにつながっているようでした。
卒論を通して得られたことは何か。
ズバリ、卒業論文を書くことに対してどんな気持ち?
論文として成り立つ結果が出せるのかという不安や、迫る提出期限への焦りがあるといったネガティブな声はもちろんありましたが、それ以上に多かったのは案外ポジティブな意見。「
初めは、やりたくなかったけどやればやるほど能動的に取り組むようになっていました」や「好きなことをテーマにしているので、追い込まれているというより好きなことを突き詰めている感覚」などの意見をくれた学生も。
しかし、時間との勝負はあるようで、焦りや不安がまったくない学生はいませんでした。(笑)
卒論を作成していてどんな気持ちなのか。
編集後記
文学部の学生が卒論へ取り組む姿勢はさまざまでした。「大学で好きなことを突き詰めていることができて誇らしい」とうれしそうに話す学生もいれば、「書かなくても卒業できるなら書きたくない」と渋々話す学生も…。されど、「これを書かなければ卒業できない、書くならやりきるぞ」という気持ちで必死に向き合っている様子が一人一人からちゃんと伝わってきたのは確か。
自分にしか書けない論文の作成に挑む今年の卒業生の論文が待ち遠しくもあり、私もしっかり向き合わねば!と焦りを感じた今回の調査でした。
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