熊本地震で半壊となった実家が1年半待って、いよいよ公費解体が決まりました。
老親2人で暮らしているので、私たち姉妹も片づけを手伝う事に。
すると家のあちらこちらから、いろんな思い出の品が出てくる出てくる!
その中でも、「懐かしい~」と手に取ったのが、色付きフェルトペン。

私が小学生だった頃、マジックペンといえば油性の黒。
それも、ぶっとい線しか書けない物が主流でした。
そんな時代のある日、父親が出張のお土産に買ってきてくれたのが、このカラーフェルトペン。
憧れの6色セット! 細い線が書ける! ぬり絵のお姫様が塗れる!と、姉妹で狂喜乱舞したのは言うまでもありません。
父親の趣味なのか、ペンの絵柄が何故か「パワーボート」なのも、気になりません。
喜々として、お姫様の瞳を水色で塗り、髪の毛を黄色で塗り、それでも飽き足らず、無駄にノートに落書きしたり。

しかし、そんなパラダイスな時間も、母の冷静な一言で終焉を迎えました。
「そぎゃん書くと、すぐインクのなくなるけんね」

当時は、100円ショップもディスカウントストアもありません。
文房具といえば、学校の近くにある文具店かデパート、街の文具専門店でしか手に入りません。
このフェルトペンも当時の値段で360円(ちなみに、一般の消しゴムは20円ほど)。
私はすぐさま妹が握りしめているペンをもぎ取り、妹の手が届かない棚の奥に隠したのでした。

あれから40年以上が過ぎましたが、棚の奥から発見されたフェルトペンは、ビニール袋こそ色あせているものの、水色の持ち手も健在。
ラベルには製造会社の△に横顔のマークがあり、360円の文字も残っていました。
そして何より嬉しかったのは、当時のままに描くことができたこと。
大好きだった濃いめの水色の発色も当時のまま。
妹からもぎとって隠していた甲斐があったというものです(笑)。


テキスト/マダムコブタ

高度経済成長期に生まれ、浮かれまくったバブル期を経験。趣味は昭和レトロ的な物を集めたり、眺めたりすること。アラフィフで心理学に目覚め、現在、大学院に在学中。