1975年、伝説のロックバンド「キャロル」の解散からソロ活動を開始した矢沢永吉
最初の金字塔である日本武道館コンサートを成功させたのが「Traveling Bus’77」ツアーでした。
それから40年目の今年。
ツアータイトルは再び「Traveling Bus 2017」。
先日のライブは、ひとつの節目をしっかりと感じさせる構成、そして我々オールドファンは感涙にむせぶ選曲のオンパレードでした。

武道館、翌年の後楽園スタジアムと、「時間よ止まれ」のヒットでガソリンを満たし、アメリカを射程距離としてきた1980年代。
矢沢永吉も30代。
僕らも遠い未来のことなんて考えるワケもなく、燃えながら疾走する矢沢の“トラベリンバス”に乗り込んだ時代。
そして矢沢が言う「30代は色気の歳」を、作詞家という立場で演出していた西岡恭蔵ちあき哲也、そして山川啓介
そんな彼らが描く男の色気ある詞の世界観を我々ファンも憧れとしていました。
1982年から86年まで毎年1枚ずつリーリースされた「夏の5枚」は、オトナのいい恋(友人に言わせるとリゾートホテルでのアフターシェーブローションの香り(笑))の世界観が満載。
しかし、そんな世界を提供した作詞家3人は亡くなり、ライブでの矢沢は少しだけ寂しそうに映りました。

特に、今年他界した山川啓介へ感謝と追悼のMCから続くメドレーは、ファンも矢沢と同じ思いを捧げながら聴き入ることができたのではないかと思います。
今回のツアー、宮崎と福岡で観ましたが、ホール会場とアリーナ会場では若干曲も変更されており、「ホール版はじっくり」「アリーナ版はロック多め」で、それぞれ楽しむことができました。
特に福岡マリンメッセでは会場が一体になってタオルを投げる“アノ曲”で、可動式の櫓に乗って会場を一周するといった、マリンメッセでは初の試み?(まるで演歌の大御所みたいな演出!)もあり、相変らずのファンサービスに、「根っからのショーマン根性」を感じました。

昨今の音楽業界は、スーパースターとかカリスマとかの類は出てこない、あるいは求められていない時代なのではないかと感じます。
どことなく庶民的で、近所に住んでいるような感じのアーティストが多い中で矢沢は、「誘惑と拒絶」を併せ持つ、稀なアーティストであることは間違いありません。
もう我々が矢沢を観ることができる時間はそれほど残っていないのかもしれません。
思い出を語りながら曲を聴かなければいけない時は、すぐそこまで来ているのかもしれません。
でも最後まで、矢沢が貫いてきた軸は変わらないで欲しいと、帰りの車中で思いました。


テキスト/クーガー

昨年から80年代の洋楽魂が再沸し、シングル盤を中心にコレクションし始める。 最近は国内マーケットでは飽き足らず、海外にネット注文にまで手を染め始めたポンコツなアラフィフ。