「その12: はちまき」

神保町では毎年、11月3日の「文化の日」を挟んで「神田古本まつり」が開催されます。
昨年は実に58回目を迎えました。
靖国通りという靖国神社につながる大通りの南側に古本屋が軒を連ねているのですが、この期間中は店先にワゴンを並べて蔵出しの古本を売っています。
それがずらーっと、通りいっぱいに続いていて、脇道にも広がって、集まってきた本好きが黙々と掘り出し物を探すという、壮観な眺めです。
神保町の古本屋はそれぞれ、専門とするジャンルがあるので、ワゴンも映画関係が多かったり、歴史本ばかりだったり。
なぜか昭和の時代のプラモデルを置いているところもありました。
僕も初日にさっそく行ったのですが、一冊でも手に取りだしたらもう大変、気がついたら両手に紙袋を抱えて財布の中からは一万円札が消えている…、そうなるのが目に見えていたので心を鬼にしてワゴンの間を通り抜け、昼メシを食べに行きました。

今回訪れたのは靖国通りから一本入ったもうひとつの古本のメッカ、すずらん通りにある「はちまき」という天ぷら屋。
神保町で天ぷら、天丼と言えば有名なのは「いもや」。
市井の安くてうまい天ぷら屋の代名詞のような存在で、いつかまたここで取り上げてみたいのですが、神保町らしさという点では、「はちまき」も甲乙つけがたいです。

「はちまき」は昭和6年創業、20年よりすずらん通りに移転という老舗。
学生たちだけではなく文豪たちにも愛され、井伏鱒二、江戸川乱歩、吉川英治といった文学者たちが常連として通ったそうです。
毎月27日に、この店で開かれていた会合は「二七会」と呼ばれていました。
以前「おさんぽ神保町」という地元のタウン誌が企画する街歩きに参加した時は、店主自ら、そのとき撮影された写真の解説をしてくれました。
江戸川乱歩を囲むようにした集合写真は天気の良い日は今も軒下に飾られています。

ここの名物は海老穴子天丼。
穴子1本丸ごと揚げたのが丼からはみ出ていて、海老も2本。
穴子の骨を結んで揚げたのが飾りとしてちょこんと。
1500円と値段は高めですが(平日は1,400円)、豪華なのでよしとしましょう。
ごま油の風味と甘さ控えめのタレが、老舗らしい落ち着いた味わいでした。

海老3本の海老天丼1300円や、カボチャ、ナス、レンコン、季節野菜の野菜天丼1000円も人気です。
海老、キス、イカ、レンコン、ピーマンのスタンダードな天丼が1000円。
これら平日だと野菜天丼、天丼が800円、海老天丼が1000円となるのがサラリーマンにはうれしいところ。
ゆっくり食べたい方のために定食や、夜のコースもあります。
額に入れて壁に飾られた文豪たちのサインや肖像画を眺めながら食べるのもオツなものでしょうね。
ごはん大盛りは学生向けなのか、かなりの量になるので注意を。

混具合:★★★☆☆
知名度:★★★★☆
大盛り:★★★☆☆
コスパ:★★★☆☆

店舗情報

はちまき

住所
東京都千代田区神田神保町1-19
営業時間
11:00~21:00(月~土) 11:00~20:00(日祝)
休業日
元日

テキスト/おかむー

青森生まれのアラフォー男子。ひょんな縁から熊本生まれの妻と結婚し、いまや体の半分は熊本人。幼少時から読書と音楽が命の源で、家には膨大な量の本とCDを所有。妻の断捨離攻撃に震えながら暮らしています。