今回も熊本県外、東京は神保町からお送りします。まるみつです。

神保町といえば古本屋街。しかし残念ながら私の狙いは古本ではなく、知る人ぞ知る神保町隠れ名物・山盛りのナポリタンです。

東京メトロ神保町駅のA7出口を出て左を向くと、オレンジ色の看板とその少し奥に赤い看板が目に入ります。時間によってはその看板の下に行列ができていることも。これが私の目的地。手前のオレンジ色の看板には「さぼうる2」、奥の赤い看板には「さぼうる」とあります。

神保町が誇る数々の喫茶店の中でも、さぼうるは1955年に開店した老舗喫茶店。その隣のさぼうる2は、食事がメインの姉妹店です。どちらも木とレンガとオレンジ色の電灯が特徴の、独特な雰囲気を持つお店。着いたのはお昼には少し早い時間でしたが、席がなくなる前に、とさぼうる2のドアを開けました。

微かなタバコの香りと、ドアのすぐ前に立った店員さんがお出迎え。店内は暗くない程度に薄暗く、狭くない程度に広くない印象です。

地下に通され、木目の凹凸がはっきり残るテーブルのよく磨かれた表面を無意識に撫でながらナポリタンとコーヒーのセットを注文。店員さんが一階に上がる前に他のテーブルに寄るのを目の端に地下をサッと見回すと、一人で机に向かっているお客さんも少なくありません。といっても広くない店内のことですから多いわけでもないのですが、確かにここは一人で来るのに気後れしたり遠慮したりする必要はないところだと思います。

先述のどっしりした気のテーブルや石の壁、オレンジ色の暖かい照明が落ち着く内装。いつもは気になる隣の席のタバコの匂いも、なぜかしら馴染んで嫌ではありません。

注文してすぐにテーブルに置かれた粉チーズとタバスコ、塩、それから紙ナプキンの入った銀色のカップを眺めながら待っていると、陶器のトレーに乗せられたナポリタンとサラダが目の前に突然現れました。注文をとってくれたのとは別の店員さんが、ぶっきらぼうにナポリタンをテーブルに置いてくれたのです。驚いたのはそのボリューム。お皿がよくパスタを提供するお店のものより小ぶりなことを抜きにしても、お皿いっぱいにこんもりとオレンジ色の山がそびえる様は、聞きしに勝る山盛りっぷりです(驚きのあまり、ピントが合わなかったのはご愛嬌)。

さあ、いざ尋常に勝負。そういえば朝食をしっかりとってきてしまったなぁと思いながらフォークを手に取り、早速手が止まりました。……どこから麺を巻き取ったものでしょう。

数秒固まった後、まずはてっぺんからとフォークを浅く刺し、回し始めたところでマッシュルームが膝へ床へと転がり落ちました。まるみつ選手、一口目に入る前からマイナスポイント! 汚れが目立つ色の服をお召しのお客様、お膝の上にハンカチを広げておかれますことをおすすめ致します。

先にてっぺんのマッシュルームや玉ねぎを食べてから、ようやく麺を巻き取ることができました。細く切ったハムと、少し甘め(?)のトマトソースが絶品。タバスコをたっぷりかけてもおいしくいただけます。

やっと半分くらい食べ終えたところで、私は水を飲み干しました。一時休戦。お腹がいっぱいです。セットのコーヒーを持って来てもらって、何組かお客の入れ替わった店内をゆっくり眺めます。お客が入れ替わっても、お一人様もやはり一定数いる模様。新しく入って来たお客さんがナポリタンを注文する声が次々に聞こえて来ます。地下だけでも、あっちにもこっちにもオレンジ色の山。やはり人気商品ですね。

空いたお冷のグラスに水が注がれました。さきほどの少しぶっきらぼうな店員さんです。少し嬉しくなって、ナポリタン攻略を目指して少しずつフォークを動かしました。

細やかに目と気を配っている店員さんのこと、苦戦しているを見ていたのでしょう。私がそろそろ厳しい、とフォークを置いたところで「お済みでしょうか」と声がかかりました。「もう下げてください」と下げてもらう女性客は何人かいたので、食べられなければ無理をする必要はないようです。まるみつ、特に惜しくもなく敗れたり。

作家の原田マハさんもこのナポリタンの大ファンで、これを食べる時には前日から食事量を減らして備えるそう。次はしっかり備えて、古本屋街で一冊ばかり本を買って、さぼうるのやまもりナポリタンに挑みたいですね。

まるみつ

気づけばまだ一度も熊本ネタを書いていないが熊本在住