つんどくよんどく

ものがたりの家

著:吉田誠治

他人(ひと)の家に初めて上がるとき、ついキョロキョロと見回してしまう。何が置いてあるのか、どんな配置なのか、わが家と何が違うのか。他人の家への興味は尽きない。だが残念なことにキョロキョロ見回すのにも限度がある。

この本はさまざまな人の家のイラスト集だ。誰に気兼ねすることもなく他人の家を眺めることができる。ただ、この本に描かれているのは空想の家であり、空想の住人だ。古本屋兼自宅という現実にもありそうな家から、鬼の隠れ家という空想ならではの家まで、魅力的で個性ある33軒もの家が描かれている。吉田誠治氏の温かみのあるイラストに心癒やされること請け合いだ。
さらに描かれている家や住人の設定も巧みで、彼らの生活が目に浮かぶ。一軒ごとにあなたにしか見えない物語を紡ぐことができるだろう。

他人の家に行きづらい今日この頃。この本を開いて一風変わった住人たちの日常をのぞいてみるのも面白いかもしれない。

定価 2420円 B4変型
パイインターナショナル

紹介するのは

蔦屋書店熊本三年坂
小川 尚太朗さん

書店歴3年目の新書・教育書・医学書担当。休日はもっぱら一人ドライブ