父ちゃんの料理教室

著:辻仁成

この本は、『父ちゃんの料理教室』という名の通りレシピ本なのですが、ちょっと雰囲気が違います。料理レシピを語り掛けるようにして文章を紡ぐのは作家の辻仁成さん。現在フランス・パリにて息子さんと2人暮らしをしています。

まず紹介する料理のエピソードがあり、その後に料理手順が話し言葉で書かれています。その雰囲気は、まるで隣に辻さんがいて、じかに教えられているかのよう。それは、親子の情愛の儀式でもあり、それでいてとびっきりおいしそうな料理の数々が出来上がるのです。

またこの中で語られる言葉は、子どもを見守り、育て、慈しむ姿が感じられます。キッチンに立ち、いとしい人のために料理をする行為がとても神聖なものであるかのように。

生き物は食べ物を口にしないと生きてはいけません。その行為は死ぬまで続き、何物にも代えがたい大切な行為です。その幸福な時をそっと思い出すことができるすてきな一冊です。

定価 1650円 A5判 大和書房

紹介するのは

長崎書店
杠(ゆずりは) 由香さん

JPIC読書アドバイザー
語学・地図ガイド・配達担当。上通界わい、うろうろしてます