つんどくよんどく
盆の国
著:スケラッコ
毎年お盆の時季になると帰ってくる先祖の霊「おしょらいさん」の姿が見える、中学3年生の秋が主人公のコミックだ。
秋は、最近けんかをした親友と夏休みに入ってから一度も会っていない。新学期になって顔を合わせるのがおっくうなあまり、「もうずっとお盆のままならええのに」と思っていると、なぜか同じ8月15日を何度も繰り返すことになる。街で出会った不思議な青年・夏夫と一緒に、終わらないお盆から抜け出すために、その謎を探っていくが…。
『ハッピー・デス・デイ』や『ロシアン・ドール』『パーム・スプリングス』といった、近年のいわゆるタイムループもののエンタメ作品は最高傑作ばかりだ。この漫画もそれらに並ぶ名作だと思う。
もう何年もお盆らしいことを私はできていないが、毎年この時季になると、この作品を読み返してしまう。多分、もうこの世からいなくなってしまった人たちを、少しの間でも思い出し、忘れてしまわないように。そんな気がする。
発行 リイド社 B6判
価格 693円
紹介するのは
蔦屋書店熊本三年坂
榮 詳平さん
映画と音楽と、楽しい酒のために働く書店員
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