すいか 1

著:木皿泉

夏のような暑さを感じられるうちに楽しみたいこと。それは2003年に放送されたドラマ「すいか」を見ること。今回紹介する本は、そのドラマを脚本仕立てで書籍化したものだ。

信用金庫に勤める30代のOL基子は、似たような毎日を何ととなく生きていた。しかし、ある夏の日、同僚が3億円を横領して逃げるという事態に遭遇しぼうぜん。そんな時、偶然目にした賄い付きアパートのチラシに導かれ、そこに住むエロ漫画家や大学教授、大家との不思議な共同生活を始める。これを機に、受動的だった基子の性格や行動は徐々に変わっていく。

基子の新たな生活は日常に転がったきらめいたものを示してくれる。理由や証拠がなくても相手を信じることの大切さや、分かり合えないと思っていた人に思い切って話し掛けたら案外伝わることなどー。

「似たような一日だけど、全然違う一日だよ」というセリフがある。今日を大事にできない、無表情になってしまう日には思い出したように「すいか」を見る。

定価 770円 文庫判 河出書房新社

紹介するのは

長崎次郎書店
荒金由紀代さん

雑誌・実用書・地図担当。
JPIC読書アドバイザー