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いつもの通学路が突拍子もない世界に【つんどくよんどく】

がっこうにまにあわない

がっこうにまにあわない

著者:ザ・キャビンカンパニー
がっこうにまにあわない

「きょうは8じまでにぜったいにいかなきゃいけない。なんでねぼうしちゃったんだ」

7時47分。玄関を飛び出した男の子は、学校目がけ夢中で走る。ページを繰るごとに時刻は1分ずつ無情に進む。どうしようもない焦り。それはいつもの通学路を突拍子もない世界に変えて、行く手の大きな障害となる。なぜ急ぐ少年? 本当に間に合うのか少年?

時間の流れる速度は一定ではない。そう感じる機会がたまにある。遅刻しそうな時もそうだ。気持ちは極端に焦り、頭はさえたり混乱したりを繰り返し、時空がゆがんだようになる。一瞬は永遠に引き延ばされ、見慣れた景色は誰かの夢の中にいるような居心地のおかしなものになる。そんな奇妙な感覚を、この絵本はあふれるほどの躍動感で表現する。しかもとても楽しく。

小さい頃、絵本に没頭したあの感じを、この作品、この絵のおかげで思い出せた気がする。ちなみに題名は「たま」というバンドの曲名から。それは面白いに決まってる。

紹介するのは

蔦屋書店熊本三年坂
榮 詳平さん

映画と音楽と、楽しい酒のために働く書店員

記事内の情報は掲載当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。

がっこうにまにあわない

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