『完璧じゃない、あたしたち』

著者・王谷晶

新鋭、王谷晶による、恋愛、SF、ホラーから戯曲までと、多様な23編が詰まった短編集。すべて2人の女性を主人公にしている。

友情や恋愛など、さまざまな人の関係性の中にある、きらめきと切なさを愛おしむように描いている。その一方で、この世界にいまだある、女性に対しての抑圧や差別という、ばかばかしくも固くはめ込まれた枠をぶち壊そうとする怒りが、そこかしこに感じられる。

その中でも、どの話も新鮮な面白さに満ちているのは驚くべきことだ。特に会話のキレはとんでもない。喫茶店で読んでいるにもかかわらず、思わず笑ってしまった私が、その面白さを保証する。

違和感に苦しめられながら、息苦しく生きるすべての人に、この本を薦めたい。あなたに寄り添い、肯定し、重い枷(かせ)から解き放ってくれるだろう。これは「あたしたち」を完璧にする傑作だから。

完璧じゃない、あたしたち

『完璧じゃない、あたしたち』 著者・王谷晶 1600円(税別) 四六判 ポプラ社

紹介するのは

蔦屋書店熊本三年坂
榮 詳平さん

映画と音楽と、楽しい酒のために働く書店員