明るい夜に出かけて

作:佐藤多佳子

昔からラジオが好きだった。学生時代は深夜1時になると受験勉強そっちのけでラジオにかじりついた。当時の私にとって、ラジオはまさに秘密基地。そんな深夜ラジオが持つ独特の雰囲気や感覚を、この作品は見事に青春小説に落とし込んだ。

本屋大賞受賞作『一瞬の風になれ』の著者、佐藤多佳子さんがデビュー前から温めていたイメージを結晶化させたという。あるトラブルをきっかけに大学を休学し、深夜のコンビニでバイトしながら一人暮らしをする深夜ラジオヘビーリスナーの主人公が、夜の中で出会う若者たちとの不思議なコミュニティーの中で成長していく。

何と言ってもタイトルが素晴らしく、そこに全てが詰まっていると言ってもいい。“明るい夜”と思い浮かべる情景は十人十色だが、誰の記憶の中にも、きっと思い当たる夜があるはずだ。

また、本書の表紙はニッポン放送スタジオの写真、カバーを外すと物語の舞台である金沢八景の夜景。素敵すぎる装丁にもぜひ注目してほしい。

明るい夜に出かけて

明るい夜に出かけて 作:佐藤多佳子 1400円(税別)19×13.6cm 新潮社

紹介するのは

金龍堂まるぶん店
内田 響也さん

休日に早起きして飲むコーヒー最高です