「えーえんとくちから」

笹井宏之著

《えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力をください》

同じフレーズが繰り返されるこの歌は、その円を描くようなイメージが永遠と重なる。言葉遊びのような音が愉快で、気がついたら延々と口ずさんでいるのだ。この短歌からとられた『えーえんとくちから』というタイトルの本書は、早世した歌人である笹井宏之の、ベスト盤とでもいうべき歌集だ。

歌集というだけで敬遠する人もいるかもしれない。だけど、伝達のためのツールとしての言葉ではなく、俳句や短歌ほど、イメージを喚起し、広げるための言葉、つまりは言葉のもつ無限の可能性を感じさせてくれるものはない。

特に笹井宏之の歌は、柔らかい言葉で本質をつくような表現で、型の決まった短歌という形式だからこその魅力がある。疲れていたり、閉塞感を感じている時に、ぜひ読んでみて欲しい。霧がさっと晴れたような、世界の広がりを感じさせてくれるだろうから。

筑摩書房 文庫判 定価680円(税別)

筑摩書房 文庫判 定価680円(税別)

紹介するのは

蔦屋書店熊本三年坂
山根 芙美さん

文芸・新書担当。書店員歴は10年ほど。海外文学偏愛傾向があり、業が深いなあと思いながら本を読む日々