つんどくよんどく
腰痛放浪記 椅子がこわい
著者:夏樹静子
鍼灸(しんきゅう)、低周波、電気、赤外線、マッサージ、ツボ押し、気功、カイロプラクティック、サウナ、体操、水中歩行、風水、おはらい、手かざし療法なるものまで、試せる限りの手を尽くすも甲斐なし実りなし。処方されたどんな薬も効かなければ、強めの鎮痛剤を打ってもらったって、ぬかに釘。
ミステリーの女王と称された作家、夏樹静子さんを、3年にもわたって苦しめ続けたのは、みなさんの中にもおなじみの方がいらっしゃることでしょう、そう、腰痛です。
ただ夏樹さんの場合、その痛みたるや人並み外れた怪物級でした。地獄のような責め苦に疲れ果て、ついには身も心もお手上げ状態に陥っていく姿。あまりの気の毒さに、こちらまで滅入ってしまうかというとそんなことはなく、さすがミステリーの女王、大変におもしろく読めます。真犯人(腰痛の原因)に至って事件解決となるまで、全く飽きさせません。
漢字で「腰」は身体のかなめと書きます。みなさん腰はお大事に。
定価 460円(税別) 文庫判 新潮社
紹介するのは
長崎書店
児玉 真也さん
JPIC読書アドバイザー。文庫担当。
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