A子さんの恋人(6巻まで発売中)

著者:近藤 聡乃

3年のニューヨーク生活から帰国してきた美大出身の29歳の漫画家A子さんには、恋人が2人いる。美大の同期で人の懐にするりと入り込み、誰からも好かれる男A太郎。そして、ニューヨーク在住のマルチリンガルの翻訳家で、意地は悪いが懐の深いインテリA君。周囲の友人を巻き込みながら展開する、この三角関係やいかに―。

と、こういうふうにざっとこの作品の概要を書くと、いわゆる「アラサー・恋愛あるある」漫画でしょ? と敬遠されるかもしれない。しかし本作は、そういったカテゴリー分けに収まりきらない別格の完成度と面白さ、なおかつそれを意識させない絶妙な脱力感とバランス感覚を持っている。

登場人物一人一人が「私の周りにもいるわ~」と激しくうなずかざるを得ない実在感。シンプルながら美しい絵とコマ割り。頻出する心に深く刺さるセリフ…。魅力を挙げればキリがないが、普段漫画を読まない人にこそ、ぜひ読んでほしい作品である。

定価 620円(税別) B6判 KADOKAWA

紹介するのは

蔦屋書店熊本三年坂
榮 詳平さん

映画と音楽と、楽しい酒のために働く書店員