悲しみの秘義

著者:若松英輔

愛する者との別れ、病に倒れた絶望…。さまざまな「喪失」を経験した人々の言葉を引用しながら、悲しみと孤独の本質を解き明かす25編のエッセー。

本書は私が以前、一刻も早く悲しみを解消してくれる答えを知りたいと、すがるように手に取った本でした。

しかし、著者は暗闇の中でしか見えない光があるといい、あえて読者にこう問い掛けます。

「人生の意味は、生きてみなくては分からない。素朴なことだが、私たちはしばしば、このことを忘れ、頭だけで考え、ときに絶望してはいないだろうか」

折に触れ読み返すうちに、私にとって悲しみとは、目を背けるものではなくなっていきました。

私の人生は明日終わるかもしれない。けれど、もし失ってしまえば心が張り裂けそうなほど悲しくなる大切なものと、たくさん出合えたことを今は幸せだと思います。その喜びに気付けたのは、ともに悲しみがあったからなのです。

発行 文藝春秋
判型 文庫判 価格 730円(税別)

紹介するのは

長崎書店
佐藤 美和さん

芸術書・雑貨担当。好きな動物はアザラシです。