保健室のアン・ウニョン先生

作:チョン・セラン 訳:斎藤 真理子

私立M高校の保健室にいる養護教諭アン・ウニョン先生は霊能力者だ。その特別な力を使い、退魔師として、BB弾の銃とレインボーカラーのプラスチックの剣を携え、相棒の漢文教師ホン・インピョ(片足が悪く霊感はないが強大な保護パワーを持つ)とともに、学校で不思議な事件を次々と引き起こす邪悪なものに立ち向かっていく!

この設定だけで心躍ってしょうがない、最高の学園ものエンタメ。面白いのはもちろんだが、この小説の何よりの素晴らしさは、その優しさだ。

ウニョン先生はいわゆる「ちゃんとした人」ではないのかもしれない。身なりはあまり気にせず、すぐに悪態をつき、いつも疲れているように見える。しかし、何があろうと子どもは守るという強い意志で真っ先に行動する。おろそかにされがちだが当然の倫理観をはっきりと示してくれる。

若い人にぜひ読んでもらいたい。保健室がそうだったように、切実な悩みに苦しむ時の避難所になるような作品だと思う。

定価 1600円(税別) 四六判 亜紀書房

紹介するのは

蔦屋書店熊本三年坂
榮 詳平さん

映画と音楽と、楽しい酒のために働く書店員