いちばんここに似合う人

作:ミランダ・ジュライ 訳:岸本佐知子

ミランダ・ジュライは作家、アーティスト、映画監督など、表現者としてさまざまな顔を持ち、どれもが高い評価を受ける才人だ。そんなセンスの塊のような彼女がこの短編集で書くのは、格好悪く、もがくようにしか生きられない、「私たち」に寄り添うような物語だ。

「まあたいていは、誰かが誰かと何らかの形でつながろうとすることだとか、そういうことの大切さだとか、そんなようなことです。それと、つながりたいのに、さまざまな形でそれを必要以上に難しくしてしまうことだとか」。自身の作品についてジュライが語ったその言葉のとおりに、この作品に登場する者は皆孤独から必死で逃れようと奇妙な行動をし、奇妙な事態になり、多くは報われない。

しかし読後に感じる力強さ、美しさ、そしておかしみは非常に独創的だ。それは一瞬でも誰かの心の奥底に触れたことで、ただの苦しみではないさまざまな孤独に出合い、共に生きていく彼らを祝福しているからだろう。

定価 1900円(税別)B6判 新潮社

紹介するのは

蔦屋書店熊本三年坂
榮 詳平さん

映画と音楽と、楽しい酒のために働く書店員