三日月とネコ

作:ウオズミアミ

40代書店員女性・異性愛者、30代医師女性・同性愛者、20代インテリアショップ店員男性・全性愛者。熊本在住の著者ウオズミアミさんが本書で描くのは、熊本で共同生活を送る、恋人でも家族でもない3人の「普通」の生活だ。

この街を舞台に、性的少数者の日常を描く作品が存在している。まずそれだけで、素晴らしく、誇らしいことだ。

彼らの喜びや悲しみ、ささやかだけれどずっと忘れたくないような幸福の瞬間が、彼らは「特別」や「異常」や「不自然」などでは絶対にないと静かに教えてくれる。あなたと何も変わらず、あなたと同じ街で、あなたと同じように暮らしているのだと。

こうなるはずじゃなかったけれど、こんなふうにしか生きられなかった自分に、それなりの後悔や諦めがあっても、それで良かったのだ。主人公たちが直面する迷いや答えが、そんなことを感じさせてくれた。この街で生きていくことも悪くないと思える、いとおしい作品。

定価 630円(税別)
B6判 集英社

紹介するのは

蔦屋書店熊本三年坂
榮 詳平さん

映画と音楽と、楽しい酒のために働く書店員