【437号】すぱいすフォーカス – どう変わる? 18歳で成人[前編]

2022年4月1日から成年の年齢が20歳から18歳に引き下げられることになりました。そこで、すぱいすでは「18歳成人」について前編・後編と2回にわたって特集します。前編は、県弁護士会の消費者問題対策委員会 副委員長の村上雅人弁護士に、その変更内容を詳しく聞きました。(後編は9月21日号に掲載予定)

改正に戸惑いや疑問も「変更点理解し、対策を」

4年後の4月から成年の年齢を18歳に引き下げる改正民法が、6月の国会で成立しました。「なぜ、引き下げられることになったの?」「何がどう変わる?」「18歳では若過ぎるのでは?」など、戸惑いや疑問を感じている読者も少なくないようです。

「課題もいくつか指摘されていますが、変更点をよく理解した上で、今後どのように対策していくかが大切です」と村上弁護士。18歳になれば親の同意がなくても契約できるようになったり、結婚年齢が男女とも18歳以上になったりと、今回の改正は日常生活に大きく関わります。まずは一人一人が内容を知ることから始めましょう。

教えてくれた人

消費者問題対策委員会 副委員長 竹中・村上法律事務所
村上雅人弁護士

私たち弁護士が特に懸念しているのは18、19歳の契約トラブル。消費者被害を防ぐため、若者向けの相談会を開くなどの対策を考えています。


「18歳成人」ココをチェック!

成年の年齢を引き下げた理由

(1)18・19歳の若者が、自分の判断で人生を選択できる環境をつくること(個人のため)。
(2)少子高齢化が急速に進む日本で、若者を早期に自立させ積極的な社会参加を促すことで、企業の利益や国の税収を増やし経済を活性化させること(社会のため)。

約140年ぶりの民法改正

成年の年齢に関する民法の改正は、なんと約140年ぶり! 明治時代以降、長く続いてきた“大人”の定義が変わる画期的な出来事です。


pick up 1 世界の主流は「18歳成人?」

主要国の多くでは、成年の年齢を「18歳」と定めています。アメリカのように州ごとに規定が異なる国も。今回の日本の成年の年齢引き下げの理由として、世界の主流に合わせるということも挙げられています。


pick up 2 結婚は男女とも18歳からに!

これまで結婚年齢が男女で異なっていたのには特別な理由はなく、「18歳成人」で結婚年齢もそろえることに。これに関して、「離婚後の養育費が、子どもが18歳になった時点で打ち切りになるのでは」「女性の結婚年齢が引き上がることで、非摘出子が一時的に増えるのでは」などの懸念が出ています。


pick up 3 契約上のトラブルは大丈夫?

親の同意なく契約が結べるようになるため、若者が言葉巧みに不要な契約を強いられ、多重債務や自己破産に苦しむケースが増えると予想されます。こうした懸念を踏まえ、政府は(1)不安をあおる契約(就活セミナー、ダイエット関連など)と(2)デート商法(恋愛感情を利用した契約)などについては取り消せるという法律を成立させました。