【438号】すぱいすフォーカス – どう変わる? 18歳で成人[後編]

前週から2回にわたって特集している「18歳成人」。前編は、主な変更内容について解説しました。後編では、読者アンケートの集計結果を紹介。また、「18歳成人」に特に関わりが大きい人たちの意見や、教育現場と行政の今後の取り組みを聞いてきました。

前編「【437号】すぱいすフォーカス – どう変わる? 18歳で成人[前編]」はこちら

「18歳成人」ポイントまとめ!

・施行は2022年4月1日から

・変更理由は「若者の人生の選択肢増」と「経済の活性化」

・18歳で親の同意なく契約できるようになる

・結婚は男女とも18歳からできる

・飲酒、喫煙などは20歳以上のまま


半数以上の読者が「不安・心配」 実施に向け、周囲の大人がサポートを

民法が改正され、2022年4月1日から成年の年齢が18歳に引き下げられることになりました。すぱいすの読者にアンケートを実施したところ、「18歳成人は良いと思う」は全体の約4分の1、「不安・心配だ」は半数を超える結果になりました。

「18歳成人」の当事者となる吉田文さん(中2)=熊本市=は、「突然決まった印象が強く、契約のことや成人式のことなど不安がいっぱいです」と戸惑っている様子。「18歳成人」に関する懸念は社会全体の課題です。今後予定されている教育制度の整備と並行して、親や親戚など周りの大人がサポートできることを考えていきましょう。


「18歳成人」の影響が特に大きい人たちの声

18歳で成人を迎える中学2年生とその母親

4年間で社会について学びたい

「18歳成人」は突然決まった印象が強いです。4年後には成人して、自分の行動に責任を持たないといけないと思うと不安です。これからの4年間は、ニュースや新聞を見たり、学校の先生に聞いたりして、社会について学びたいと思います。(文さん)

学校と家庭での教育が必要

すでに成人している娘もいますが、その子が18歳の時はまだ高校生で“子ども”でした。特に契約上のトラブルが心配。学校での教育はもちろん、家庭でも「成人の責任」について伝えたいと思います。また、成人式と大学受験の時期が重なることも心配です。(理江さん)

吉田理江さん(50)文さん(中2)

吉田理江さん(50)
文さん(中2)


呉服の小売・レンタル業界

成人式の希薄化が心配

成人式が従来通り1月ならば、大学受験の時期と重なって、出席者が激減することが予想されます。呉服の小売り・レンタル業だけでなく、振り袖の産地も打撃を受けて作り手が減り、日本の民族衣装「きもの」の衰退につながりかねません。若い方にはぜひ、人生の節目として成人の日に振り袖を着ていただきたいです。

IKEDAYA 代表取締役 池田満頼さん

IKEDAYA 代表取締役 池田満頼さん


「18歳成人」に向けた環境整備について

教育現場は?

消費者教育を推進

「18歳成人」になると、悪質商法による被害や多重債務などのトラブルが増加する可能性があります。若者が安心して安全で豊かな消費生活を営むために、学校の教育活動の中で、消費者教育を推進していく予定です。
(熊本市教育委員会事務局 学校教育部 指導課)

成人式は?

式の時期や在り方について検討

国は、「18歳成人」を見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議を開催し、成人式の時期や在り方等について、今後、関係者との意見交換や各自治体の検討状況を取りまとめるとしています。

2023年1月開催予定の「熊本市成人式」はその内容を踏まえて検討し、詳細が決まり次第、市政だよりやホームページでお知らせする予定です。
(熊本市市民局 市民生活部 生涯学習課)