【542号】すぱいすフォーカス – 家族で話し合いを! 免許返納を考えよう
高齢ドライバーによる事故のニュースを見聞きすると、自身や家族の運転に不安を覚える人もいるかもしれません。熊本県警察本部運転免許課の濱田純一さんに、運転免許証の自主返納について聞きました。
教えてくれた人
熊本県警察本部 交通部運転免許課
濱田 純一さん
必要な書類や時間については、ウェブサイトをご覧ください!
元気なうちからルールづくり 運転を卒業する準備を
免許返納を考えているものの、車を生活の足として使っていて、すぐには返納が難しいという人も多いのではないでしょうか。
濱田さんは「どうしても運転する必要がある人は、危険性の高い状況を避けて運転する『補償運転(※下記参照)』から始め、運転を卒業する準備をしてほしい」とアドバイス。
また、元気なうちから家族で話し合うことも重要です。「『いつまでに返納するのか』『返納後の病院への送迎は誰がするのか』といったルールを事前に決めておきましょう」と濱田さん。
返納後は、希望する人に対する「運転経歴証明書(有料)」の交付や、交通機関の割引などの支援もあります。加害者にも、被害者にもならないために、家族で免許返納を考えてみませんか。
免許返納後の身分証明書
免許返納後、希望する人に交付される「運転経歴証明書」は、生涯、身分証明書として使用できます。
※手数料(1100円)、写真1枚が必要
※画像は警視庁HPより
家族も一緒にチェックを 免許返納を考える目安
「若い頃と違うな」をきっかけに
年を重ねると、視野が狭くなったり筋力が衰えたりします。この身体機能の低下が運転操作のミスにつながってしまいます。「若い頃と違ってきたな」が目安です。
CHECK!
□車の鍵の置き場所を忘れることが増えた
□ 右左折するときのウインカーを出し忘れる
□ 車に擦り傷が見られる
□ 慣れているところで道を間違える
□ 駐車に苦労する、枠内に入れられない
□ 運転が荒くなり、急ブレーキ、急発進が増えた
□ 同乗者と話すと、運転しづらくなった
気になったら始めてみよう 長く運転を続けるための「補償運転」
補償運転とは
加齢や病気などで運転技術の低下が見られる場合、危険運転にならないよう自身の体調や天候、道路状況を踏まえた運転をすることです。隣に家族を乗せ、普段どんな運転をしているかを確かめてもらうのも有効です。
こんなことから始めてみよう
● 夜間や雨の日の運転を控える
● 体調が悪いときは運転しない
● 遠出はせず、慣れた場所への移動のみにする
● ラジオや音楽などを聞かず、運転に集中する
● 以前よりスピードを出さないよう注意する
交通運賃からメガネまで! 免許返納の特典
「運転経歴証明書」の提示などを行うと、自治体や交通安全協会のほか、民間企業からの支援・サポートが受けられます。詳細は各自治体担当課や各事業者に確認を。
バス・電車・タクシー事業者から
各種バス会社ならびに熊本市交通局では、65歳以上の免許返納者に運賃の割引を実施(割引乗車証の交付手続きが必要)。タクシーは事業者、自治体により割引あり。
熊本中央地区交通安全協会から
感謝状や記念写真、返納した運転免許証を額に納めた記念品を贈呈(協会加入者のみ対象。地区により異なる)。
民間企業から
温泉施設割引や、引っ越しの割引、メガネや補聴器の割引など。
熊本県のホームページでも特典の概要が確認できます
https://www.pref.kumamoto.jp/kiji_19129.html
毎年返納者は増加傾向 熊本県の免許返納状況
返納者、経歴証明書交付共に毎年1〜3割増
県警の報告によると、令和元年中の免許返納は7133件で、うち65歳以上の割合は96.8%。毎年1〜3割程度増加しています。
[実際に免許返納した方に話を聞きました]熊本市の丸塚 勉さん(75歳)
バスや電車の割引もあり! 散歩も増えて健康的に
今年の春、車検と免許更新の期限、それと放課後に面倒を見ていた孫の高校入学の時期がほぼ重なりました。自分の年齢も考え、いいタイミングと思って免許返納を決心。近くの警察署で申し出ると「お疲れさまでした!」と快く対応されて、ホッとしました。移動はバスや電車が中心となりましたが、運賃の割引があるため以前のガソリン代と比べて随分節約になっています。昔は近所の移動でもすぐ車を使っていましたが、今は散歩が日課に。歩くことで健康にもつながっていると思います。
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