【549号】いざその瞬間(とき)、どうする? 野生動物に出合ったら

最近、イノシシやタヌキなどの野生動物が熊本市内の住宅地にも出没したというニュースをよく見かけます。生活被害や農業被害で困っている人たちも多いのだとか。そこで、いつバッタリ出くわすか分からない野生動物への対処法などをご紹介します。

近くにいるかも… 増える野生動物にどう向き合う?

野生動物に関する被害状況や人間の生活圏に侵入させないための対策、遭遇した場合の行動などを、熊本市の担当者に聞きました。

寄せ付ける要因を人間が作らない

熊本市内でも、近年、野生動物の生活被害、農業被害が増加しており、平成30年度の市民の皆さんからの相談件数は合計567件でしたが、令和元年度には約100件も増えました。本年度も7月時点で、相談件数が過去2年を上回るペースで増えています。

相談の内容は、イノシシに関するものが最も多く、次いでタヌキ、カラスやハト、シカなどの相談が寄せられています。最近は立田山のふもとの住宅地でイノシシがよく目撃されており、周辺の自治会では熊本市有害鳥獣駆除隊と連携して箱わなを置いたり、通学路に電気柵を設けたりして対策を講じ、捕獲されたことも。また、以前は南区~西区辺りで多かったイノシシが最近は中央区でも目撃され、江津湖を泳いで逃げた事例もあります。緑川河川敷ではシカが出没し、菊陽町では車両とシカとの接触事故も発生するなど、エリア、種類を問わず野生動物はすぐそばにいます。

事故や被害を防ぐには、第一に私たちが野生動物を「寄せつける要因を作らない」ことです。動物の餌となる家庭ごみやペットの餌、お墓のお供え物などを外に放置しない、庭の果樹や家庭菜園の野菜には柵を設けるー。もちろん、野生動物に餌を与えてはいけません。また、動物の隠れ家となる住宅地周辺のやぶや、荒れた林は地域で協力して整備するなど、野生動物を人間の生活圏に近づけない工夫をしましょう。

もし、バッタリ出合っても、基本的に向こうは臆病な動物たちなので、こちらから刺激を与えず、静かにやり過ごせば、襲われることはほとんどありません。

熊本市農水局 農政部農業支援課 鳥獣対策室
長野 志織さん


なぜ野生動物の目撃が増加しているの?

豊富な餌と暮らしやすい環境で増加

イノシシやシカは年中、昼夜問わず森や林を徘徊(はいかい)しており、特にこの10年ほどの間に金峰山や立田山周辺で目撃が増えています。特に立田山は餌が豊富で、餌を奪い合う敵が少なかったこともあり、どんどん増えました。全国的にも野生動物が人里で目撃されることが増え、その一因には里山の管理がおろそかになったこともあります。

答えてくれた人
熊本博物館 学芸員
清水稔さん


シカ

基本的には夜に行動するが昼も動き、ほとんどの植物が餌。臆病な動物だが、高い跳躍力を持っており時には大胆な行動も。秋に繁殖期を迎え、特にオスが活発に徘徊する。

いざ出合ったら

追いかけたり、大声で騒いだりして刺激すると大変危険。シカから見えない場所に静かに避難して。

対策

1.8m以上ある電気柵や金網などで庭や畑などの周囲を囲い、近づけない。


ハト&カラス

カラスは雑食で天敵もあまりおらず、学習能力が高い。ハトは繁殖力が高く軒下やベランダに巣を作り、不衛生な環境を生み出す。

いざ出合ったら

カラスは、3~4月ごろに街路樹や電柱などに巣を作る。4〜6月ごろの子育て期には、つがいで鳴いて威嚇することも。襲ってきたら、その場からすぐに立ち去って。やむを得ず近くを通る際は、帽子や傘で防御を。

対策

針山やネットなどでハトの侵入を防ぐ。ベランダなどに下げたままのハンガーはカラスが巣作りに使うので、撤去を。カラス・ハトの巣を撤去する際、卵やひながいたらそのままに。巣立った後で巣だけを撤去。


タヌキ&アナグマ&イタチ

アナグマは長い爪で竹林などに巣穴を掘って生活し、タヌキは落ちた果物や生ごみなども食べる雑食性。イタチも雑食で繁殖力も高い。基本的には夜行性だが昼間も活発に動き、住宅地の排水溝や床下の隙間などを寝ぐらにする。

いざ出合ったら

光や音を出すと驚いて逃げていく。

対策

建物の隙間を金網で覆うなど侵入路をふさぐ。カキやミカンなどの果実は適時収穫し、落ちた実もすぐに片付けを。やぶの草刈りなどを行い、隠れる場所を減らす。


サル

行動圏を持ち、群れを形成する。市街地に出没するのは新しい群れを求めて移動する若いオスの「離れザル」。ジャンプ力や記憶力に優れ、一度経験した恐怖体験は忘れない。

いざ出合ったら

目を合わせない。かみついたり、飛びかかったりする恐れがあるが、刺激しなければ立ち去るので、不用意に近づく、脅かす、指さししてからかうなどの行為はNG。

対策

窓やドアから室内に入り込むので、戸締まりをしっかりと! 家庭菜園のトウガラシやシソなどはあまり好みではなく、食べられにくい。


イノシシ

警戒心が強く、臆病で注意深い。雑食性で犬並みの嗅覚を持ち、高い学習能力と記憶力を持ち、跳躍力がある。体重は60〜80kgで、鼻で70kgくらいのものも持ち上げる力持ち。人や車との衝突事故も多い。

いざ出合ったら

興味本位で近づいたり、物を投げたりして刺激すると大変危険。興奮させないよう、慌てずゆっくり後ずさりして見えない場所へ。

対策

出没エリアを通る際には、音を鳴らすなど、人間の存在を知らせる。

上記の地区は、熊本市で令和2年7~8月に緊急対応(イノシシ)が多かった場所のトップ4。住宅地でも出没が相次いでいる


コウモリ

空き家や屋根裏など人間の生活圏内ながら、人があまり寄り付かない場所に潜んでいる「アブラゴウモリ」。夕方から朝方にかけて活動し、昆虫を餌とする。

いざ出合ったら

コウモリをすみかから追い出し出入り口をふさごう!

対策

夕方からすみかを出て活動するので、その時間帯に外からの侵入路となる隙間を探してふさいで。コウモリが嫌うにおいや超音波などで撃退するグッズもあり。


鳥獣対策室info

広範囲を移動する野生動物への対処

地域一丸で取り組むことが大切! 鳥獣対策室では、自治会や学校などを対象に有害鳥獣に関する講習会を開催しています。調査や捕獲などの相談も同室に。

出没情報はこちらでチェック

熊本県警 ゆっぴー安心メール」または、熊本市HP(「熊本市 鳥獣対策室」検索)で!

講習会の様子

野生鳥獣を目撃し、危険を感じた場合

住宅地などにおいてイノシシ、シカ、サルなどの野生動物を目撃したら、下記まで電話を。

警察(110)または、熊本市内の場合、熊本市農業支援課鳥獣対策室
TEL:096-328-2369
※平日8時30分~17時15分
※鳥獣対策室に電話がつながらない時間帯は熊本市役所代表TEL:096-328-2111
※熊本市外の方は、お住まいの市町村へ