“私の本”という印…「蔵書票」を知っていますか?

“蔵書票”を知っていますか? 本の裏表紙などに貼る版画仕立ての小紙片で、「これは私の本です」と表す印のこと。Exlibris(エクスリブリス)とも呼ばれ、起源は、15世紀半ばのヨーロッパにさかのぼります。紙や本が非常に貴重だった当時、「これは私の所有物なので、ちゃんと返してくださいね」という意味を込めて、蔵書票が作られたといわれているそうです。しかも、最古の蔵書票にはハリネズミが描かれているのだとか! 持ち主の警戒心がひしひしと感じられます…。

幻想的なものから、かわいらしいものまで、作家の個性が色濃く出る蔵書票の絵柄は見るだけで楽しく、コレクションとして集める人もいるそう。実は、これまで蔵書票というものを知らなかった私も、『なかお画廊』と『古書 汽水社』で5月に開催された「蔵書票展」で、その魅力に取りつかれてしまった一人。ずらっと並んだ芸術品の数々に、“コレクション欲”が爆発しそうでした。

写真は『なかお画廊』での展示の様子

写真は『なかお画廊』での展示の様子。 同展は「本熊本(ぼんくまほん)」のイベントの 一つとして5月に開催

坂口芳枝さんの作品

坂口芳枝さんの作品

「蔵書票展」は同画廊の中尾佳子さんと陶芸家・星乃功実さんが約1年前から企画し、19人の作家に作成を依頼し実現しました。作品には木口木版、ゴム版、銅版、シルクスクリーンなどの多彩な技法を使用。中尾さんの「いろいろな種類の作品を展示することで、その違いを楽しんでもらえたら」との思から、さまざまな風合いの蔵書票が並びました。

展示方法もユニーク! 『なかお画廊』では各作家の愛読書が作品のそばに置かることで、作家の素顔や作成の裏側までのぞいた気分に。熊本でも前例のない蔵書票の展示会ということで、中尾さんは「展示について自分でもいろいろと調べたり、作家さんたちにイメージを聞いたりして考えました」と話していました。

本も一緒に展示された同画廊

本も一緒に展示された同画廊

『古書 汽水社』では、作品が並べられた棚の近くに古い本が開いた状態で置かれていました。開かれた見返し部分には「蔵書票展」のポストカードが。同店の佐藤慶太さんに理由を聞くと、「実際に“蔵書票は、こういう感じに貼るのですよ”と見て分かってもらえるようにしました」とのこと。展示会を店内で開くのは今回が初めてという佐藤さんは、「版画のスペシャリストのような方の作品から、普段は別の分野で活躍されている方が特別に作られた作品まで、同じテーマで多くの作風が楽しめるのが面白いですよね」と話します。

今回の展示会では、400円~2万7000円で作品が販売されたほか、オーダーメードで注文も受け付けていました。私はというと、「最近買った本には、この蔵書票が絵柄もぴったり!」など、膨らみ続ける妄想を抑えつつ(笑)、ある作品を購入。自分の本にお気に入りの蔵書票を貼ることで、なんだかより一層愛着が湧いた気がします。

また、蔵書票はギフトや思い出の品としても魅力的。「本が好きな家族や友人にプレゼントしたり、子どもが生まれた記念に購入したりしてもいいですね」と中尾さん。

「またいつか、第2回目を開催できたら」と主催者。展示会は終了してしまいましたが、場合によっては作品の購入もできるとのこと。気になる方は、同画廊へ問い合わせてみて。

『古書 汽水社』で、ゲーテやニーチェについての古い本などとともに展示された蔵書票

【取材協力】

店舗情報

古書 汽水社

住所
熊本市中央区城東町5-37-1F
TEL
096-288-0315
営業時間
11時~21時(延長あり)
休業日
第2・4木曜

サラスパ

本を読んでいる途中で、違う本を読み始めてしまうことが多い20代女子。部屋には結末を知らない本が何冊も…(あきれ顔)。