長い人生にはいろんなイベントが待ち受けています。そこには必ずと言っていいほど“お金”が関わってきます。
そこで、本紙「ななみ先生の家計相談Q&A」でおなじみのファイナンシャルコーチ・佐藤ななみさんに、住まいと暮らしにまつわるお金の情報について聞きました。
今後の人生設計にぜひ役立ててください。

ファイナンシャルコーチ 佐藤ななみさん

「お金ともっと仲良く!」を合言葉に『佐藤ななみのおかねの教室』を主宰。家計・住宅・保険・資産運用の講座や相談業務を展開中。書類整理やフリーランス向けワークショップも人気。


Q. マイホームの取得を検討しています。住宅ローンを組むと、所得税が最大500万円戻ってくると聞きました。大きな金額なので、きちんと理解して資金計画に織り込んでおきたいと考えています。詳しく教えてください。

マイホーム取得を検討中 所得税の優遇制度を知りたい

A. 借入金を利用してマイホームを取得した人について、所得税を軽減する優遇制度が『住宅借入金等特別控除(通称:住宅ローン控除)』です。
これは、「借入金の年末残高の1%」までの金額が10年間にわたって税額控除されるというもの。(1)合計所得額3千万円以下の人が、(2)償還期間10年以上の一定の借入金を利用して、(3)床面積50㎡以上(うち半分以上が居住専用)の住宅を取得し、(4)6カ月以内に入居して年末まで住み続けている必要があります。

例えば、借入金の年末残高が3千万円だと、30万円までの所得税が減額されます。課税所得金額を引き下げる『所得控除』と違って、課税所得金額に税率を掛けて算出した「税額そのもの」をカットするところが、『税額控除』たるこの制度の大きなポイントです。所得税で控除しきれない場合は、所得税額の1.4倍までの金額(年13万6500円が上限)が住民税からも控除されます。

適用を受けるには、取得した年の翌年3月15日までに、残高証明書など必要書類を添えて所轄税務署に確定申告書を提出します。2年目以降は、給与所得者なら、勤務先に必要書類を提出すれば年末調整で手続きしてもらえます。

知っ得情報

控除最大500万円とは

住宅ローン控除の「最大500万円」とは、認定(長期優良・低炭素)住宅に対する上限額。「年50万円×10年」(一般住宅は年40万円まで)という意味ですが、借入残高5千万円超を10年間維持してこその控除額です。また、納めている税額が控除枠より少ない場合は、実際の納税額が上限です。500万円がフルに減税されるのは、給与年収で少なくとも780万円以上の人です。


Q 昨年、新築の家を35年ローンで購入しました。このままいくと年金生活に入ってからも、しばらく返済が続くことになります。なので小まめに繰り上げ返済して定年までに完済するのが目標です。注意点などはありますか。

35年で組んだ住宅ローン 繰り上げ返済したいけど…

A. 住宅ローンに限らず、あらゆるローンの利息は常に「借入金額×利率×期間」で算出される額です。例えば、適用金利が1%のローンで100万円を繰り上げ返済する場合、1年間で軽減できる利息額は「100万円×1%×1年」で1万円です。

ところで、上でお話しした『住宅ローン控除』は、借入金残高の1%相当が所得税額から軽減されるというものでした。ということは、100万円を繰り上げ返済することで、軽減される税額が年1万円少なくなることになります(納税額や借入金残高によって異なる場合があります)。利息が1万円浮いても、納税額が1万円増えたら…家計にとって結局は同じことですね。あとは、適用金利によって少々の損得が生じるところ。繰り上げ返済は住宅ローン控除の適用が終わってからでもいいかもしれませんね。

住宅ローンは、最も低い金利で利用できる融資です。早く身軽になりたいと繰り上げ返済した結果、手元資金が不足し、他のローンを利用することになれば、より高い利息を負担することになってしまいます。また、団体信用生命保険が付いているのもメリット。繰り上げ返済は、手元資金に十分なゆとりをもって取り組まれてください。