【594号】2021 今を楽しむ 未来に備える 30代、40代からの親子で考えるセカンドライフ
「セカンドライフを心豊かに過ごしたい」。そんな意欲的な人たちと、その子ども世代に向けて、今を楽しむコツと未来に備える方法をテーマごとに伝えるシリーズ「セカンドライフ特集2021」。第2回は相続に関するさまざまな情報をお伝えします。〈次号は11月掲載予定〉
いざというときに慌てないために知っておきたい 「相続」Q&A[Part2]
「相続」と聞くと、何だかとても難しい話で、面と向かって親子で話し合う機会は少ないかもしれませんが、避けては通れない問題です。親子が元気なうちに、じっくり話し合っておくことが大切です。今回は相続の中から「相続登記」について、上田祐輔弁護士に話を聞きました。
話を聞いたのは
上田法律事務所 代表
上田 祐輔 弁護士
2024年4月までに相続登記が義務化されます。分からないことがあれば、専門家に相談してみましょう。
[Q1]「相続登記」という言葉をよく聞きますが、どのようなものですか。
A
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった際に、その名義を相続する人に変更する手続きのことをいいます。
これまでは相続登記は義務ではなかったのですが、相続登記を義務化するための法改正が進んでおり、2024年4月までに施行されることになっています。
この法律が施行されたら、相続が発生して自らが不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を行わなければ10万円以下の過料に処せられます。
しかし、不動産の所有者が亡くなった際に、そのことを知らなかった、または亡くなったことは知っていたが、不動産所有については知らなかったといった場合には処分を受けることはありません。
[Q2]「相続登記」を行わないとどのようなことが起こるのでしょう。
A
現段階では相続登記は義務化されていませんので、しなければ登記費用はかかりません。ただ、後になって新たな相続が発生した場合、相続人が増えていくことになり手続きも大変になります。
例えば、お父さまが亡くなったので不動産の相続登記をしようと準備を始めると、その不動産がお父さまの名義でなく、亡くなったおじいさまの名義のままになっていた場合、おじいさまの代までさかのぼって相続登記をする必要があり、とても複雑な作業が必要になります。
また不動産を担保とした融資が受けられなかったり、名義人でない限り売却もできません。特に、熊本など地方では、空き家はもちろん、相続登記がされていない田畑や山林などが多くあり、手が付けられない状態のまま放置されている不動産が大きな問題となっています。相続が発生したら速やかに相続登記をしておくことをお勧めします。
[Q3]「相続登記」はどのようにして行うのですか。
登記に関するおおまかな流れは、
- (1)相続人全員の協議
- (2)同意が得られれば遺産分割協議書に署名
- (3)相続登記の申請書作成
- (4)法務局への書類提出
となります。
相続人同士で後々のトラブルにならないようしっかり話し合いを行うことが大切です。適宜、専門家のアドバイスも受けながら進めるとより安心でしょう。
[Q4]相続登記などの手続きを簡易化する「法定相続証明制度」があるそうですね。
相続登記を行うには、さまざまな書類の準備が必要で手間がかかります。そのため手を付けずに放置されているケースも多いようです。そこで相続手続きに係る相続人と手続き担当部署双方の負担を軽減するために、2017年に「法定相続証明制度」が運用開始されました。
この制度は、相続人が登記所に(1)被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類(2)(1)の記載に基づく法定相続情報の一覧図などを提出することで、認証文付きの法定相続情報一覧図の写しを交付してもらえるというものです。この制度のおかげで、相続の手続きごとに取り集めていた戸籍謄本等の書類の束が簡易化されることになりました。法務局のホームページなどにも情報が掲載されているので、確認してみてください。
よりよい豊かな人生へ向けて
先祖供養の新しい在り方「墓じまい」とは
最近、よく耳にするようになった「墓じまい」という言葉。皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。
お墓を継いで管理していく人がいないため、後になって無縁仏になる可能性がある
高齢になり、ふるさとの墓参りにもなかなか行けなくなってしまった
管理費が負担になっている
住み慣れた家に住み続け 売却資金を運用することも
お墓を継いで管理していく人がいないため、後になって無縁仏になる可能性がある
高齢になり、ふるさとの墓参りにもなかなか行けなくなってしまった
管理費が負担になっているは理由はさまざまですが、検討する人が増えてきています。
「墓じまい」とは、遺骨をこれまでのお墓から新しい場所に移し、元のお墓を更地にして、管理者に返還することをいいます。お墓を管理する子孫がいないため、遺骨を管理・供養してくれる霊園や寺院に預け永代供養にする人もいれば、最近は墓を作らずに樹木の下に埋葬する樹木葬や、遺骨を海や山にまく散骨(海洋葬など)など、新しい埋葬方法を選択する人も増えています。
樹木葬を利用されたご家族からは、「お墓参りに来た際に、草花を通して四季折々の変化を楽しめ、故人と一緒に満開の桜や紅葉を見ているようで、とても穏やかな気持ちになれます」という声も聞かれます。
家族みんなの、これからの豊かな人生のために、自分が亡くなった後の埋葬方法の希望なども伝えておくといいかもしれませんね。
(取材協力・セルモ熊本本社玉泉院 田丸裕太総館長)
[豊かな暮らし編]家族みんなのこれからのために 今からできるお金の対策
人生100年時代―。いつまでも元気に過ごしたいと誰しも思うものですが、長い人生の間には、介護が必要になったり、認知症になったりすることも考えられます。なかなか先のことは考えられないという人も多いかもしれませんが、5年後、10年後に自分の行動や判断能力が制限されてしまうこともあるとすればどうでしょう。元気な今だからこそできる「お金の対策」についてご紹介します。
元気なうちから考える"老後の備え"
日本人の平均寿命は年々伸びており、男性は81・64歳、女性は87・74歳(厚労省「令和2年簡易生命表の概要」)。その平均寿命と健康寿命(日常生活に制限なく過ごせる期間)には、約10年の開きがあるといわれています。この間に病気を抱えたり、介護が必要になったり、認知症を発症したりすることもあり得ます。
「誰も先の人生は予見できませんが、子や孫になるべく負担をかけないようにしたいという思いは、多くの方が抱いています。コロナ禍など昨今の状況がきっかけとなり、ご自身の将来についての相談も増えています」と肥後銀行コンサルティング営業部の開瑛一さんは話します。
65歳以上の5人に1人が認知症を発症する可能性があるといわれる今。介護にかかる費用は平均で約500万円。その期間が10年間におよぶと約1000万円の費用がかかることになります(※1)。
※公的介護サービスの自己負担費用含む 出典:(公財)生命保険文化センター(平成30年度生命保険に関する全国実態調査)
いったん、認知症と診断されると、預貯金の引き出しや株、不動産の処分などができなくなってしまう場合もあります。
「子どもの立場からは、なかなかお金の話は切り出しにくいのが現実です。家族みんなが安心して暮らしていくためにも、元気なうちから、家族で将来のことを話し合っておくことが大切です」
話を聞いたのは
おすすめの代理人指定信託(ひぎん安心みまもり信託)
肥後銀行では、自身の財産管理を親族に託すことができる「代理人指定信託」を今年6月にスタート。信託金の入出金状況を「みまもり人」が確認できるこの商品、どのようなものか見ていきましょう。
手続きの流れ
こんなニーズに応えてくれます!
[Q]財産の管理を他人に 任せたくないのだけれど
[A]
財産の管理を、信頼できる家族に任せられます。
[Q]親が財産を管理できなくなった場合、きょうだい間で情報を共有できるといいのに
[A]
代理人指定信託は、代理人の他に信託金の入出金状況を見守る「みまもり人」を指定できるので、お金の動きを複数人で共有できます。相続の際のトラブル防止にもつながります。
[Q]認知症やもしものときに、家族に金銭的な負担をかけたくない
[A]
3親等以内の家族を代理人に指定しておくことで、ご本人が認知症等になっても、必要な資金の引き出しが可能になります。
また、「遺言代用特約」を付加することで、相続の際にも財産をスムーズに受け渡せます。
あなたの相続税額などを簡単入力で試算できます!
貯金通帳や固定資産税の納付書などを準備してスタート!
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