【602号】心地よく楽しく実践!プラスチックフリー生活

海洋プラスチックごみ問題が深刻化し、プラスチック製品を減らすために、昨年7月にはレジ袋が有料化。エコバッグやマイボトルを使う生活も定着しつつあります。さらにもう一歩進んで私たちにできることは何でしょう? 身近な取り組みなどを紹介します。

プラスチックを減らす 使わない暮らし

お菓子の袋や洗剤の容器など、私たちの身の回りには使い捨てプラスチックがあふれています。ストレスなく脱プラスチックを実践するにはどうしたらいいのか、専門家や実践者に聞きました。

身近なプラスチックごみ問題 一人一人の心掛けで削減

私たちの暮らしから発生

プラスチックのごみが劣化し、5mm以下になったマイクロプラスチック(MP)による環境汚染が世界的に深刻化しています。私の研究室の調査では、熊本市内でも、江津湖の泥底1kgあたりから平均1000個のMPを検出しました。この現状は、私たちの生活と密接に関わっています。合成繊維で作られた服の洗濯もその原因の一つ。1回の洗濯で約数万個のMPが発生し、下水処理場へ。そこで除去しきれなかった分が川や湖へ流出するのです。他に掃除機のダストや道路の粉じんからもMPが検出されるなど、多くが私たちの生活圏から発生しています。

プラスチックの原料には有害性が疑われる化学物質(添加剤)が使われています。これが川や海に流れ出て、分解されないまま漂い続けることが問題といわれています。解決には、プラスチックの全体量を減らしていくことが第一。私たちがすぐ実践できるのが、マイボトルを持ち歩くなど、“シングルユース”(使い捨て)のプラ利用を減らすことです。

また、来年4月に施行予定の「プラスチック資源循環促進法」では、ごみの3原則である、リデュース(削減)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)の「3R」に、リニューアブル(再生可能な資源に替える)という視点が加わりました。製品の設計から廃棄まで、環境負荷の少ないプラ製品を製造・販売する企業の取り組みも今後一層求められます。私たちもそんな企業の商品を選び、応援する姿勢が、重要となってくるでしょう。

江津湖のプラスチックごみ。写真右は江津湖のごみの中から発見されたMP。レジ袋など、目に見えるプラごみを拾うことも、MP削減のために私たちができる大切な一歩

熊本大学大学院 先端科学研究部(理)
准教授 中田 晴彦さん

人工化学物質による生態系の汚染などに関する調査・研究を国内外で展開。


身近なところで脱プラ! できることから始めよう

海外での生活体験を機に、プラ製品をできるだけ使わない「プラスチックフリー生活」を実践し、広めようとしている渡邊最愛さん(31歳)。どのように心掛けて暮らしているのか、話を聞きました。

オーストラリアにワーキングホリデーで1年半滞在していた時は、量り売りや、スーパーに並ぶ包装されていない野菜や果物が当たり前の光景でした。帰国後、改めて気付かされたのが日本のプラスチックごみの多さ。使い捨てが当然だったラップなどの日用品を繰り返し使える素材のものに代えてみました。すると同じものを長く有効活用するようになり、プラごみが随分減りました。

また、商品を購入する際は、素材に目を向け、「使って心地いいものは何か」「捨てるときにリサイクルできるか」などを考えるようになり、惰性で物を買わなくなったというメリットも。

最近は、使用済み容器を店舗で自社回収し、リサイクルするなど企業側の意識も高まっています。「買い物は投票」という言葉があるように、そのような企業の商品を選択することは、プラスチック削減のための技術や商品開発へつながっていくはず。完全にプラスチックフリー生活はできなくても、1つでもできることから始めていきましょう。

[name]渡邊最愛(まな)さん
profile

熊本市生まれ。2020年、女性3人でプラスチックを使わない生活を提案し、雑貨などを販売するオンラインショップ「serendipity」を立ち上げ、運営。洗剤の量り売りや手作り歯磨き粉のワークショップなども行っている。同市在住。


化粧品

環境に優しい 再利用可能な容器を

化粧品はプラ容器に入ったものが多いので、ガラスやアルミなど再利用可能な容器に入ったものをチョイス。化粧水は自社で容器を回収しリサイクルするなど、プラごみ削減に積極的に取り組んでいるメーカーのアイテムを購入。


外出

食事道具を常備し 使い捨てプラごみ減へ

マイバッグとマイボトルはもちろん、箸やスプーン、フォーク、ストローもひとまとめにして持ち歩いている。ストローはステンレス製で、におい移りが少ないのがいいところ。


台所

使い捨ての消耗品を 繰り返し使える品へ

アクリルたわしやポリウレタンでできたスポンジは合成繊維でできているため、MPの発生源に。そこで、土に返る素材のコットンや麻ひもで手作りした、たわしを使用。洗剤は、使い捨て容器が出ないよう食器洗い用の固形せっけんを近所のスーパーで購入。

左上のシリコンラップは電子レンジでも使用可。天然素材の蜜蠟(みつろう)ラップ(手前)は、保存容器のふたやおにぎりなどの食品を包むのに◎。
※蜜蝋は油分の多い食品、酸性の強い食品には使用不可。熱に弱いので、電子レンジで使用不可。蜂蜜アレルギーの人や乳児の口に入るものへの使用は控えてください

使い捨てのクッキングシートは、プラスチックの一種であるテフロンなどで加工されているため、洗って繰り返し使えるシリコン製のシートを使用。オーブンや冷凍庫でも使用OK。


買い物

マイバッグにプラスの工夫を

スーパーで包装されずに販売されている生鮮食品は持参したコットン製の網バッグに入れて持ち帰る。そのまま冷蔵庫への保管も可能。

花専用のマイバッグ。包装紙要らずでごみが出ない。プレゼントにもおすすめ。


洗面

キュートさが愛着につながる

プラスチック容器に入れる必要がない天然の洗剤「ソープナッツ」で洗濯。使用する時は、通常通り洗濯物と一緒に洗濯機へ。ナッツの主成分であるサポニンは、汚れを落とす働きがある。洗濯ネットは、合成繊維ではなくコットンでできたものを使用。

持ち手が土に返る自然素材の竹製歯ブラシを使用。パンダ柄でお気に入り。歯磨き粉は自作。重曹とココナツオイル各大さじ1、ミントのエッセンシャルオイルを好みで数滴たらせば、出来上がり。瓶に詰めて保存。


※ここで紹介したアイテムの一部は「serendipity」のサイトで購入できます。

https://serendipity066.stores.jp/


どうしても出てしまったごみは… リサイクルのためのプラごみの正しい出し方

あれこれ工夫しても、どうしても出てしまうプラスチックごみ。スムーズにリサイクルできるよう、熊本市の「プラスチック製容器包装」の出し方をおさらいしましょう。

資料提供:熊本市廃棄物計画課

[1]「プラスチック製容器包装」とは?

「プラマーク」が目印。(1)カップ類(2)袋類(3)ボトル類(4)パック・トレイ類(5)緩衝材(5)ふた、ラベルなどの6種類が対象です。また、プラスチックごみとして出せるのは「容器包装」のみ。おもちゃなど、プラスチック製でも商品として販売されているものは燃やすごみに出しましょう。


[2]分別の注意点

汚れているものはNG

汚れているものは、食器を洗う時の残り水などを利用して洗い、乾かして。汚れが落ちにくいレトルトパックや調味料の小袋、チューブなどは、プラマークが付いていても燃やすごみへ。

二重袋はやめよう

選別の妨げになるので、二重袋はやめましょう。


リサイクル後は再生プラスチックとなり、ハンガーなどの加工材料に。資源として使えるよう正しく分別しましょう!

※ここで紹介したのは、熊本市のルールです。各自治体のルールに沿ってごみの分別を行ってください。

編集部より

コロナ禍で衛生面への配慮やテークアウトなどでやむを得ずプラスチック製品を使う場合もありますが、身の回りでできることから脱プラ生活を心掛けてみませんか。