移住者たちの選択

自らの意志で「熊本」を選び、移住してきた人たちがいます。 彼らが熊本に感じた魅力とは? 暮らしてみた感想は? "熊本の良さ"に気付かされるお話が満載です。

移住者にとって熊本の魅力とは?

東日本大震災やコロナ禍などをきっかけに、都会から地方への移住を考える人が増えているようです。地方移住を支援するNPO法人ふるさと回帰支援センター(東京都)への相談・問い合わせ件数も昨年、過去最多を記録しています。

熊本県は「くまもと移住定住支援センター」を設け、県や市町村の移住支援情報を集約するポータルサイトの運営、東京や大阪、福岡での移住相談会も開催するなど移住希望者を支援しています。

県によると、移住希望者に熊本の良さをアピールする中で高評価なのが「水」といいます。「水のおいしさにびっくりして、それが移住の決め手になりました」という人もいたそうです。また、「思っていたよりも都会で、自然とのバランスがいい」との意見も。

ただ、最終的には「人」との出会いが大切だと話すのは、移住定住アドバイザーの立花恵香さん。市町村の担当者、住む予定の地域の人々と良い出会いができた人は、移住に結び付くケースが多いそう。「近所に移住してこられた方がいたら、ぜひ温かい声掛けをお願いします」と話してくれました。

お問い合わせ

くまもと移住定住支援センター(熊本県地域振興課)

TEL
096-333-2181
備考
熊本の移住に関する情報はこちらから

DATAで見る[移住]の傾向

熊本は全国で18位

「ふるさと回帰支援センター」の相談者は、女性や20代が増えています。相談会を開催する「くまもと移住定住支援センター」でも「以前は高齢の方が多かったのですが、コロナ禍でリモートワークが増えたこともあり、若い方の移住希望者が増えています」とのこと。

また、ふるさと回帰支援センターが毎年発表している相談者の移住地希望ランキング(右表)では、熊本は昨年18位。かつては10位以内に入ったこともあったそうですが、熊本地震以降は低迷。昨年、久しぶりに20位以内にランクインしました。

移住地希望ランキング

順位 都道府県名
1位 静岡県
2位 福岡県
3位 山梨県
4位 長野県
5位 群馬県
6位 広島県
7位 宮城県
8位 岐阜県
9位 栃木県
10位 神奈川県
11位 福島県
12位 和歌山県
13位 山口県
14位 鹿児島県
15位 富山県
16位 北海道
17位 京都府
18位 熊本県
19位 宮崎県
20位 新潟県

※ふるさと回帰支援センターの相談者を対象に行ったアンケートによる(2021年)


豊かな自然を愛し 地域に根ざしたい

[移住例(1)]東京でグラフィックデザイナー → 南阿蘇で有機農家

初めて見た南阿蘇の風景に「ここだ」と確信しました

東京在住時に結婚した福島県出身の村田寿政さん(40)と宮崎県出身の紘子さん(39)。寿政さんはグラフィックデザイナー、紘子さんは看護師・保健師として日々充実していたそう。転機は東日本大震災。2人は「人が生きていくことに直結する事をやりたい」と考えるようになり、〝食べ物〟を作る農業という仕事に行き着きました。貯金をする一方、学校で有機農業を学び、どのような農業、暮らしをしたいかというイメージを固めながら、3年の準備期間を経て南阿蘇村への移住を実現させました。

「俵山トンネルを抜けた途端、眼前に広がった風景を見て〝ここだ!〟って。南阿蘇は水がきれいで有機農業が盛ん。観光地で空港が近いという立地の良さも魅力です。何より、気持ち良く農業をできる場所だと感じました」と寿政さん。ポジティブな性格で、就農に失敗するとは思っていなかったと笑いますが、一方で、「地域に入っていくための自助努力は必要です」ときっぱり。「集落で守られてきたルールを大切にすることが、地域に根差して生きるということだと思います。将来、引っ越しも考えていますが、それはこの集落内で、と決めています」

現在、年間200品種ほどの野菜を露地で育てている村田さん夫妻。収穫した野菜は、つながりのある家庭へ宅配したり、レストランなどに届けたり。移住前の夢を実現する毎日を送っています。

ことぶき農場主 村田寿政さん

ことぶき農場主 村田寿政さん

娘の寿実ちゃん(3)も自然の中で伸び伸び成長

村田さんの畑と田んぼは村内に点在し、合わせて1町5反。「自分が楽しみながら野菜を育てたい」と、手間を惜しみません。少量多品目で、赤や白、黄色などカラフルな野菜がそろうのが、2016年に開園した「ことぶき農園」の特長です。

ことぶき農園

Instagram:@cotobuki_nouen
Facebook:@cotobuki.jp


[移住例(2)]福岡でサラリーマン → 和水町でゲストハウス経営

かめばかむほど味が出てくるのが田舎の面白さ

転勤で訪れた福岡にほれ込み、「九州で暮らすため」に会社を退職した兵庫県生まれの辻大樹さん(48)。宿を経営しようと物件を探す中で和水町にあった空き家と出合い、妻と2009年に移住。1年かけて改装し、ゲストハウスをオープンさせました。「田舎に対する憧れはなかったのですが、すんなり地域になじみ、プラスに感じることばかり」と辻さん。自然豊かで渋滞もなく、熊本市や阿蘇、福岡などに1時間程度で行ける点も気に入っているそう。「温泉や酒蔵、古墳など和水町にはいい所が数多くあります」と加えます。

辻さんは、観光地を訪れるために泊まる宿ではなく、〝宿〟そのものを目的に旅する人が集う宿でありたいと話します。リピーター客が和水町に移住するケースもあり、今後は移住者の増加を目指し、宿の利用者に働き掛け、町全体を盛り上げたいとも。「移住者の視点を生かしたパン店や雑貨店などの店が増えると人を呼べます。そこが田舎の面白さ。これからはローカルでも十分勝負できると思っています」

THEスナフキンズ宿主 辻 大樹さん

THEスナフキンズ宿主 辻 大樹さん

「何もないことを楽しめる人が来てくれるとうれしい」と辻さん。今は、敷地内の庭をどう整えるか思案中。「好奇心さえあればやることはいっぱいあります!」

THEスナフキンズ

TEL:080-2784-5817
1泊素泊まり3500円(税込)
https://www.thesnufkinz.com
Facebook:@thesnufkinz


[移住例(3)]アロマセラピスト 東京 → 天草

ここはまさに「宝島」。自分を保っていられる場所です

波音が響く海沿いの一角に、優しい香りが漂います。黒沢三穂さん(43)は、「東日本大震災発生後、人が生きていくということに初めて向き合いました」と話します。家族での移住を決心した時に求めた条件は「子どもが徒歩で登校できる場所。地域内での自給率が高く、地元のもので生活が成り立つところ」でした。当時、インターネット検索で見つけたのが天草市。黒沢さんも夫も東京都出身で天草について全く知識がなかったものの、天草を形容する〝宝島〟という言葉にひかれたそうです。

移住後はさまざまな縁があり、現在はアロマセラピストとしてアロマ関連商品の製造販売、教室&体験、マッサージなどを展開中という黒沢さん。商品化したルームスプレーやマスクスプレーなどには、椿葉や晩柑など天草で育った植物を使用。天草の観光名所や地域名などが付けられ、それぞれ黒沢さんがイメージした香りに仕上がっています。「私の作った香りが、天草を知ってもらうきっかけになれば」と黒沢さん。「人口が減るとどんなに良いものでも守れなくなります。天草に目を向けてもらうお手伝いを続けられれば」と穏やかな笑顔で話します。

HIGH BEACH relax 代表 黒沢 三穂さん

HIGH BEACH relax 代表 黒沢 三穂さん

「HIGH BEACH」は自宅がある住所名「高浜」に由来。土地に根付いていきたいという思いが込められています。「ここは本当に宝島でした。子どもたちも自分で生きていく力がついて、天草で子育てをできて良かったと思っています」と黒沢さん。自宅の目の前に白鶴浜海水浴場のビーチが広がるというロケーションにも満足しています。

HIGH BEACH relax

TEL:090-6941-9624
(来店時は事前に要連絡)
URL:mihokurosawa.stores.jp/
Instagram @miho.kurosawav