【395号】すぱいすフォーカス – 心と体にアプローチ!! 香りのパワー

いい香りに包まれると心と体の緊張が解け、気分がリラックスしますよね。そう、「香り」にはパワーがあるんです。人が香りを感じるメカニズムや、期待できる効果などについて専門家に聞きました。


教えてくれた人

崇城大学薬学部 (医療薬剤学研究室) 教授・薬学博士
瀬尾 量さん

せお・はかる 熊本大学薬学部修士課程修了。病院薬剤師勤務を経て、2006年から現職。研究分野は医療薬剤学やジェネリック医薬品、香りの効果の解明(アロマコロジー)など。

脳に直接、素早く伝わり 感情や記憶に大きく影響

私たちは日常、さまざまな香りに接していますが、香りが心身に与える影響は意外と大きいそうです。近年、医学・薬学の分野で研究が進み、具体的な効果・効能が証明されつつあります。

「人の五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)のうち、香りを感じるための『嗅覚』で得た情報が脳に最もダイレクトに、スピーディーに伝わります」と話すのは、崇城大学薬学部教授の瀬尾量さん。香りは、かいだ瞬間に直接、心理的・肉体的作用をもたらすため、視覚や聴覚など他の五感に比べて喜怒哀楽や記憶への影響が大きいそうです。

香りはアロマオイルや香水、芳香剤、柔軟剤など、いろいろな方法で手軽に取り入れることができます。好みの香りを見つけて、その効果を日々の生活で応用してみてはいかがでしょう。


香りの種類と心理的作用

アロマテラピーで使うアロマオイルを例に挙げ、なじみのある香りの種類と、期待できる心理的作用を表にまとめました。複数の香りをブレンドして好みの香りを作ってもOK。また、香水や芳香剤などを選ぶ際の参考にしてみてください。

出典/「におい かおり―実践的な知識と技術―」(堀内哲嗣郎著)


香りの力ってスゴイ!

心身がリラックス

いい香りはストレスを解消し、心身をリラックスさせます。ラベンダーの香りなどは、ストレス濃度を測定するマーカーによる実験でストレスを軽減させる効果が証明されています。

ダイエットに効果的!?

例えばグレープフルーツの香りは、アドレナリンを分泌させて脂肪を燃焼させる効果と、胃の副交感神経を抑え食欲低下を促す作用があるそうです。そのため、肥満を予防できる可能性があります。

記憶を呼び覚ます

懐かしい香りをかいだ瞬間、幼少期の思い出が鮮明によみがえることがあります。これは匂い成分が、脳内で記憶をつかさどる「海馬(かいば)」という器官に直接伝わるために起きるそうです。香りが認知症予防になる可能性も。


知ってて得する、かも…!?

香りの豆知識

香りと匂いにまつわる、ちょっとした雑学を紹介します。

①ゾウの嗅覚はスゴイ!

東京大学特任准教授・新村芳人氏らの研究により、アフリカゾウの、臭いを感じ取る嗅覚受容体の遺伝子が犬の2倍あることが分かりました。その数は人の5倍に相当し、これまで調査した動物の中で最も多いそうです。だてに鼻が長いわけではないんですね。

②香りの歴史は5000年

香料が歴史に初めて登場するのは、紀元前3000年ごろ。シュメール文明の遺跡に、香料の記述がくさび形文字で刻まれていたそうです。日本では、古事記と日本書紀に香りがする果物の記述があり、その後、仏教の伝来と共に香料が日本に伝わったといわれます。歴史上の人物にもお気に入りの香りがあったかも…。

③分泌物の臭いが香水に!?

香水の材料となる香料は、植物だけでなく、マッコウクジラやジャコウジカ、ビーバー、ジャコウネコの4種類の動物からも採取されます。ビーバーは肛門付近、ジャコウネコは生殖器付近から取れ、いずれもそのままだと、かなり臭いそうです。近年は動物愛護の観点から、多くは化学合成のものが使われています。

※②③は参考文献/「『香り』の科学」(平山令明著)

香りを楽しむときは 周囲への配慮を忘れずに

どんなにいい香りでも、付け過ぎれば周囲に不快な印象を与えることもあります。香料が入った製品を使う際は、香りの強さを確認し、TPO(時・場所・場合)に合わせたマナーも大切に。また、香りの種類や成分によっては健康に悪影響を及ぼす場合があるので、アレルギーなどの既往歴がある人は事前に医師または薬剤師に相談しましょう。