【413号】もっと気軽にお寺に行こう 寺活のススメ
「お寺」は仏事が行われるだけの場所と思われがちですが、もともとは地域に根付いた諸事が行われる身近な場所でした。県内各地のお寺では、趣向を凝らしたイベントや教室などが開かれています。信仰や宗派に関係なく参加できるものも多いので、気軽に“寺活”へ足を運んでみませんか。
※写真は本妙寺です
落語
香福寺(中央区本山)
人の縁をつないで お寺を楽しい場所に
アマチュア落語家らによる「お寺de落語」を開催している香福寺。定期寄席の開催は60回を超え、「落語が身近な存在になった」「お寺の温かい雰囲気がいい」と観客からの評判も上々です。
自らも高座に上がり、落語を披露する副住職の清水谷勇哲さんは「もともとお寺は公共施設のような存在。地域のために活動するのが私たちの役割だと思っています」と話します。
落語以外にも、地域の人たちが料理を作って食卓を囲む「おたがいさま食堂」など、さまざまな活動に取り組む清水谷さん。4月1日(日)には「浄瑠璃ライブ」、5月には「お寺de映画」を予定しています。
「ご縁をつなぐことは仏教の教えでもあります。お寺が人をつなぐ楽しい場所にしたい」と思いを語ってくれました。
「お寺de落語」実施DATA
「第63回定期寄席」
日時:4月21日(土) 14時・17時
木戸銭:500円
※毎月1回の定期寄席の他、不定期でさまざまなイベントを実施中
お問い合わせ:広報 山下さん 080-2731-0053
副住職
清水谷 勇哲(ゆうてつ)さん
皆さんのアイデアや知恵をお借りして、今後も楽しい活動を企画していきます
静寂に包まれた境内で心安らぐひとときを
荘厳な空気が満ちていて、ゆったりとした時間が流れるお寺。身近な場所でありながら、非日常感を味わえるのも魅力です。静寂に包まれた境内で過ごすと、きっと穏やかな気持ちになれますよ。
ヨガ
大慈禅寺(南区野田)
心落ち着く厳粛な空間で 心と体を解き放ってリラックス
弘安元(1278)年創建で、国指定重要文化財の梵鐘(ぼんしょう)など多くの文化財を所有する大慈禅寺。この由緒正しい古刹(こさつ)で週2回、行われているのがヨガの教室です。きっかけは約9年前、近所に住むヨガ講師の中村由美さんが同寺の座禅会に参加した際、厳粛な雰囲気に感動。住職の佐藤泰道さんに、この場所で教室を開かせてほしいとお願いしたそうです。
レッスンの会場は、60畳以上もある大広間。スペースにゆとりがあるので、のびのびと体を動かせるのも魅力です。参加者は20歳代~70歳代後半の男女と幅広い年代で、とても和やかな雰囲気に包まれています。参加者の皆さんからは、「お寺ならではの雰囲気が落ち着く」「体を動かすのはもちろん、先生やみんなと話をするのが楽しみ」などの声が。“寺活”を存分に満喫しているようでした。
会場は和気あいあいとした雰囲気ですが、ひとたびレッスンが始まると皆さん真剣な表情に
大慈禅寺
レッスン終了後は全員で会場を清掃するそう。お寺への感謝の気持ちも忘れません
お寺の愛猫 ベル
住職
佐藤 泰道(たいどう)さん
毎年3月に川尻一帯で開催される「川尻お寺deフェスタでは、「座禅体験」を行っています
託児付き ワークショップ
妙国寺(荒尾市)
子育て中の母親の息抜きに 託児付きの教室が充実
母と子どもの守り神である“鬼子母神”を祀(まつ)る妙国寺。同寺では、子育て中の母親たちのためにさまざまなワークショップを実施しています。
始まりは約7年前。「お花を習いたいけど、赤ちゃんがいるから…」という主婦の声を聞いた副住職の渡邊義専さんと妻の紗知子さんが、お花の教室を企画したことがきっかけでした。実は渡邊さん夫妻、保育士の資格を持ち、実務経験もあるとのこと。母親が教室に参加している間、子どもを預かっています。
「子育て中のお母さんたちが息抜きできる場所になればうれしいですね」と渡邊さん。主婦の皆さんも「子どもを別の場所に預けてまで習い事をするのは難しいけど、ここなら気軽に参加できます」とニッコリ。
参加者が日頃の成果を発表できる場を、と始めたイベント「OTELIKE?(お寺行く?)」も今年で5回目。認知度も年々高まり、地域おこしにも一役買っているようです。
この日はオリジナルアルバムを作る「スクラップブッキング教室」を実施中
ワークショップ 実施DATA
「お寺でYOGA教室」「ふくらはぎケア」など、さまざまなワークショップを開催。参加費は1回500円~1000円程度(託児料は別途300円)
お問い合わせ:渡邊さん 080-6473-6322
ママたちが教室に参加している間、副住職夫妻が別室で子どもの世話をしてくれます
昨年5月に行われた「OTELIKE?」の様子
副住職一家が飼っているウサギのミルク
副住職
渡邊 義専(ぎぜん)さん
今年の「OTELIKE?」は5月20日(日)に開催予定です。気軽に遊びに来てください
座禅会
浄国寺(北区高平)
厳かな雰囲気の中で 心静かに自分と向き合う
全国的に有名な松本喜三郎作の生人形「谷汲(たにくみ)観音像」が祀られている浄国寺。同寺で60年近く開かれている行事が「座禅会」です。毎週木曜の夜、厳かな雰囲気の中で座禅が40分、禅に関する書籍を用いた講義が30分行われます。「これからの生き方を考えるきっかけになれば。肩の力を抜いて頑張ろうと思ってもらえたらいいですね」と住職の中山義紹さん。
「座禅会」以外にも、写真展や講演会などこれまで多くのイベントを企画。平成22年から毎年恒例となっているイベントが「いま、心にZEN」です。禅に関する講演会の後、全国で活躍するミュージシャンを招いてのジャズライブ「お寺でジャズ」を実施。年々注目度が高まっています。
「座禅会」実施DATA
日時:毎週木曜 20時~21時10分ごろ
※参加無料。初回のみ事前連絡が必要。開始前に住職が作法などを説明してくれます
しんと静まり返った本堂。住職の足音だけが聞こえます
実際に体験してみると、40分は意外にあっという間
昨年11月に開催された「お寺でジャズ」の様子
住職
中山 義紹(ぎしょう)さん
場所や時間を選ばず、自宅や職場で気軽にできる「いす座禅」もお試しください
お寺でひと息
寺院を併設した古民家カフェ
昨年12月、菊池市の自然豊かな場所にオープンしたカフェ。寺院が併設されていて、築100年の古民家を改装した店内の一角にある仏間を「光柳院」として開設。住職の松村光照さんが訪れる人の悩みや相談に乗っています。
カフェを担当するのは娘の千春さん。乳製品や砂糖を使わず、オーガニック素材だけで作るお菓子や、旬の野菜がたっぷりの「本日のランチ」1620円(1日10食限定・要予約)を提供しています。のどかな山里の景色を眺めながら、体に優しいお菓子やランチをいただくと、心も体も元気になれますよ。
「季節のパフェ」702円、「フレンチプレスのオーガニックコーヒー」648円
玄関にさりげなく「光柳院」の看板
店内で写経体験もできます
店舗情報
- 住所
- 菊池市市野瀬25
- TEL
- 0968-33-4233
- 店舗ホームページ
- http://cafetubaki.com/
- 営業時間
- 11:00〜17:00
- 休業日
- 月・火・金曜
- 料金
- ランチ2000円(10食限定・予約制)
4月22日(日)街なかで「寺フェス5」開催!
7年前、県内の日蓮宗の若手僧侶たちが「お寺を身近に感じてほしい」と始めたイベントが「寺フェス」。加藤清正を祀る本妙寺(西区花園)を会場に過去4回開催され、多くの来場者でにぎわいました。ところが、熊本地震で本妙寺が被災。それから2年以上、イベントは休止状態でしたが、過去の参加者から再開を望む声が次第に増加。実行委員会のメンバーで話し合いを重ねた末、花畑広場と新市街アーケードに会場を移して開催することを決めたそうです。
今回の「寺フェス5」には、飲食店や雑貨店など約100店舗が出店予定。加藤清正公の特別御開帳や、宗派の垣根を越えた熊本地震三回忌セレモニーのほか、お守り作り体験、復興御朱印・復興絵馬など、お寺ならではの催しも盛りだくさんです。実行委員長の金井俊行さんは「今回のテーマは“仏興”。みんなで震災の復興を願い、少しでも仏教に関心を持ってもらえたら」と話してくれました。
左から事務局長の堀尾大悟さん(菊池市「妙蓮寺」副住職)、実行委員長の金井俊行さん(南区川尻「常清寺」副住職)、副実行委員長の松本裕顕さん(球磨郡多良木町「延寿寺」副住職)
寺フェス5
日時:4月22日(日) 10時~17時
場所:花畑広場・新市街アーケード
内容:本妙寺清正公 特別御開帳、熊本地震三回忌セレモニー、飲食店や雑貨店の出店、ステージイベントなど
平成27年10月に本妙寺で行われた「寺フェス4」の様子
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