【421号】最近よく聞く スマホ老眼ってなに?

「スマホを使うようになって、何だか周りが見えづらくなった気がする…」。読者スタッフのそんなつぶやきをもとに調べてみたら、「スマホ老眼」と呼ばれる、さまざまな症状が年齢問わず現れているようです。原因や予防法、対策を熊本眼科(熊本市中央区)院長の武藤貴仁先生に聞きました。

近くを見続けることが目の負担に 疲れ目、老眼の症状を悪化させる恐れも

人間の目がピントを合わせる能力は10代後半でピークを迎え、加齢とともに緩やかに衰えていきます。一般的に、近くにピントを合わせづらくなる老眼は40歳ごろから始まるとされています。しかし、スマホの画面などを長時間、至近距離で見続けることによって目が疲れ、年齢に関係なく近くが見えづらくなるほか、30代後半から疲れ目の症状を訴える人が増えているそうです。これが、「スマホ老眼」です。

「医学的にいえば、眼精疲労によるピント調節の能力の低下で、『調節緊張』『仮性近視』などと呼ばれるものです」と武藤院長。「近くを見る時は、毛様体筋という筋肉を使って目の中の水晶体(レンズの役割)の形を変え、ピントを合わせます。しかし、筋肉は常に緊張していると疲れてしまい、近くだけでなく遠くにもピントを合わせることが難しくなります」。ショボショボ感が出るほか、ひどくなれば目の痛みや頭痛も伴うといいます。また、実年齢以上の老眼の症状を引き起こす恐れもあります。

“スマホを見ない”のが一番かもしれませんが、そうもいきません。手放すのがなかなか難しいなら、家でできる予防法や対策などで、自分や家族の大切な目を守りたいものですね。

読者スタッフの白石公子さん

武藤院長に話を聞く読者スタッフの小泉幸子さん


こんな症状ありませんか?

●よく見える時と見えづらい時がある
●初めは見えていたスマホの文字がだんだんかすんでくる
●スマホを見た後に、周りの見え方に違和感がある
●目の奥が痛くなる
●こめかみ、首筋、肩が痛くなる
●頭皮やこめかみをマッサージすると改善する頭痛がある
●スマホを使うと乗り物酔いのような症状が出る


教えて先生!

こんなときどうすれば!?

上記の症状があてはまったら、どうすればよいのでしょう。読者スタッフの素朴な疑問を武藤院長にぶつけてみました。

予防・対策

Q.

スマホ老眼」への対策や予防法ってありますか!?

石井 友美さん

石井 友美さん

A.

まずは「スマホ老眼」にならないよう、予防することが大事です。スマホを見ていると、つい時間を忘れて夢中になりがちですが、連続して1時間見ないようにしましょう。ピント調節の筋肉の能力は40~50分が限界です。スマホを長時間使用する場合は1時間に1回は休憩を取り、あまり明るくない遠くの景色を5分以上見るようにすると、筋肉のストレッチになりますよ。また、スマホの画面を暗めに設定し、明るい場所で使用することも有効です。

ブルーライト

Q.

「ブルーライト」について教えてください。

船本 里美さん

船本 里美さん

A.

ブルーライトとは、スマホなどの画面から出ている、目に見える青白い光のことです。この光が目のピント調節をする筋肉に働きかけて、より近くにピントを合わせようとしてしまうため、筋肉が疲労し疲れ目になりやすいのです。

受診のタイミング

Q.

目に違和感があるような、ないような…。病院に行ったほうがいい!?

A.

見えづらさや目の筋肉痛、目の調子に波があると感じるなど、ちょっとしたことでも違和感があればぜひ受診してください。症状の程度に応じたアドバイスが聞けますよ。場合によっては医師の処方による投薬で、症状が改善されることもあります。

笠村 厚子さん

笠村 厚子さん


取材を終えて

仕事ではパソコン、自宅ではスマホと、集中して何かを見る時間は長いのですが、ピントを合わせるための筋肉の持続時間が意外と短いことに驚きました。目のトラブルを悪化させず、スマホと上手に付き合うためにも、予防や対策を日々の生活で意識していきたいですね。
(読者スタッフ)


取材協力