【438号】工芸品で楽しむ 秋の食卓

熊本のイイモノ、見つけた!

陶磁器、漆器、ガラス、木工、竹工、イ草製品、カトラリー…。熊本では、さまざまな工芸品が、県内各地で作られています。伝統的なものはもちろん、おしゃれで使い勝手が良いものもたくさん。普段使いができて長く愛用できる熊本の工芸品を使った秋の食卓を、すぱいすと県伝統工芸館がご提案。お気に入りのものに囲まれると、きっと食事の時間が楽しくなりますよ。


器を主役にテーブルを彩る

工芸品の中でも毎日使う食器類は、工芸品になじみのない人にとっても気軽に取り入れられるアイテムです。秋の食卓をテーマに、器にスポットを当てたテーブルコーディネートを考えてみました。

機能性と美しさを併せ持った2つとない手づくり品

そもそも工芸品とは何でしょう? 「機能性と美しさを持った工作物で、多くは手作業によって作られる実用性を重視した手工業品です」と池田さん。「人の手が入ることで2つと同じものがなく、“用の美”といわれるように、使いやすく長く愛用できるという特長もあります」とも。また、お願いをすれば、大きさや形など、使い手の要望に応じてくれる工房も多いそうです。工房を訪ねれば、作り手のこだわりなども聞けるはず。池田さんは「作品に触れた時の手触りや重さといった感触に、きっと新鮮な喜びを覚えることでしょう」と、その魅力を話してくれました。

食卓では、家族それぞれが「私はコレが好き」と自分好みの茶わんに変えるだけで、いつもの食事が新しく、楽しく感じられるはず。

熊本の自然と文化の中から生まれた熊本のイイモノを使って、皆さんも秋のわが家の新しいテーブルコーディネートを考えてみませんか。

教えてくれたのは

熊本県伝統工芸館 学芸員
池田 昌一郎さん
だから工芸品っていい!

・2つと同じものがない
・作り手のぬくもりを感じる
・使い勝手が良く、長く愛用できる
・あつらえで使い手の要望を聞いてくれる
・作り手と触れ合う楽しさがある


家族との大切な食事 食卓に工芸品を加える

色も形もばらばらな工芸品。でも、食卓に置いてみると意外と納まって見えるもの。伝統的な絵柄、モダンなもの、かわいらしいものなど実に多彩。とりあえず好みの工芸品を置いてみましょう。

(1)(2)「カレーパスタ皿」洋々窯/(小)2200円、(大)3000円(3)「い草てまり」熊本い草てまりの会/(特々大)1万1000円(4)「麦酒盃(木箱入り)」いしの窯/3996円(5)「肥後花茣蓙ミニコースター」清香園/216円(6)「茶碗」松橋窯/8640円(7)「麻テーブルセンター(うろこ文)」岡村美和/4000円(8)「子ども食器(カエル)」内田皿山焼/(深皿)720円、(4寸皿)310円、(飯椀)820円、(4寸平鉢)720円

(1)(2)「カレーパスタ皿」洋々窯/(小)2200円、(大)3000円(3)「い草てまり」熊本い草てまりの会/(特々大)1万1000円(4)「麦酒盃(木箱入り)」いしの窯/3996円(5)「肥後花茣蓙ミニコースター」清香園/216円(6)「茶碗」松橋窯/8640円(7)「麻テーブルセンター(うろこ文)」岡村美和/4000円(8)「子ども食器(カエル)」内田皿山焼/(深皿)720円、(4寸皿)310円、(飯椀)820円、(4寸平鉢)720円

(9)「黒そり鉢」山幸窯/(中)5400円(10)「柚彩取皿」陶房立神峡/(大)4860円(13)「染付杉形碗」同/4860円

(9)「黒そり鉢」山幸窯/(中)5400円(10)「柚彩取皿」陶房立神峡/(大)4860円(13)「染付杉形碗」同/4860円

(5)「肥後花茣蓙ミニコースター」清香園/216円(11)「柚彩取皿」陶房立神峡/(小)1944円(12)「染付ゴブレット」久木野窯/4530円(14)「信州竹角ちがい一輪差」宮崎珠太郎/5万5000円

(5)「肥後花茣蓙ミニコースター」清香園/216円(11)「柚彩取皿」陶房立神峡/(小)1944円(12)「染付ゴブレット」久木野窯/4530円(14)「信州竹角ちがい一輪差」宮崎珠太郎/5万5000円

※番号がある工芸品は、県伝統工芸館の「工芸ショップ匠」で手に入ります

【取材協力】

店舗情報

熊本県伝統工芸館

住所
熊本市中央区千葉城町3‐35
TEL
096-324ー4930
店舗ホームページ
http://kumamoto-kougeikan.jp/
営業時間
9時~17時
休業日
月曜(祝日の場合は翌日、年末年始/12月25日~1月7日)
駐車場
あり
工芸ショップ匠
096-324-5133

知っておきたい 器選びのポイント

色柄はもちろんですが、使いやすさも食器を選ぶ大切なポイント。過去に県伝統工芸館で催された「秋岡流、暮らしのためのデザイン展」を参考にまとめてみました。

故秋岡芳夫氏(1920年─97年)は、宇城市出身の工業デザイナー。ブルートレインから鉛筆までさまざまなデザインを手掛け、作り手と使い手の良い関係を提唱。同館にもさまざまなアドバイスをしました。

持ちやすい

大きさ、形、重さなど片手でも持ちやすいものを。湯飲みなら直径約三寸(約9cm)。これはビール瓶や茶筒と同じ大きさ。高台があるものは指の引っ掛かりが良いものを。

男女、大人・子ども別に

茶わんや箸は男女、子どもなど自分に合うサイズのものを。箸の長さは、一咫(ひとあた)半が良いとされます。(一咫は昔の長さの単位で、親指と人差し指の間の長さのこと)

手触り・口触りが良い

手触りにもこだわりましょう。グラスは、薄くて口当たりが良いタイプを。飲みやすいと、よりおいしくいただけそうです。

和洋中の料理に使える

和食、洋食、中華と多彩な日本の食卓。いろんな料理に万能に使える器が重宝します。登場頻度も増えるのでお気に入りを。

左利きも使えるデザイン

徳利(とっくり)や、取っ手が上に付いている土瓶などは、右利きでも左利きでも難なく使えて便利。

手入れがしやすい

食器洗剤を使っていいのか、自然乾燥でOKなのか、また食器洗浄機で洗えるかなどは確認が必要です。

(参考文献 「食器の買い方選び方」著者/秋岡芳夫 新潮社)


試してみて! 工芸品のこんな使い方

「今の暮らしの中で、工芸品をどう使ったらいいか分からない」と感じている人が多いかも。でも、まずは使ってみることです。最近は、工夫を凝らして本来の用途以外の使い方を楽しむ人も多いとか。すぱいすスタッフも、いろいろ考えてみました。そのアイデアをご紹介します。

朝食シーン

ザルをパン皿に

竹で編んだ温かみを感じるザルを、パン皿に見立てました。木製のバターナイフを添えると、落ち着いた雰囲気の朝ご飯に。

(15)「みそこし」竹細工窪地/3780円(16)「リフレクター」シマダシンペイグラスワークス/7020円(17)「テタール」アトリエ森の家/(大)5200円

(15)「みそこし」竹細工窪地/3780円(16)「リフレクター」シマダシンペイグラスワークス/7020円(17)「テタール」アトリエ森の家/(大)5200円


昼食シーン

ガラスの器を花器に

赤がきれいなモダンなガラスの器に水を張り、花を浮かべて花器にしました。華やかな気分でランチタイムを。

(18)「赤いボウル」シマダシンペイグラスワークス/1万9440円(19)「スイッチカラー」同/5940円(20)「肥後花茣蓙ランチョンマット」清香園/1080円

(18)「赤いボウル」シマダシンペイグラスワークス/1万9440円(19)「スイッチカラー」同/5940円(20)「肥後花茣蓙ランチョンマット」清香園/1080円


ティータイムシーン

お皿を卓上オブジェに

シルクロードが描かれたお皿を、立て掛けて飾ってみました。旅情が湧いてきて、おしゃべりも弾みそうです。

(21)「炭化砂象嵌台皿」泗水窯/3万2400円

(21)「炭化砂象嵌台皿」泗水窯/3万2400円


お月見シーン

徳利(とっくり)を一輪挿しに

今年の中秋の名月は9月24日。徳利を一輪挿し代わりにしてススキを飾り、月を眺めながら球磨焼酎を一杯。

(22)「焼酎サーバー」ふもと窯/3万7800円(23)「徳利」たけみや窯/2160円(24)「フリーカップ」岱平窯/1296円(25)「菊型盆欅」古川工房/(7寸)7560円

(22)「焼酎サーバー」ふもと窯/3万7800円(23)「徳利」たけみや窯/2160円(24)「フリーカップ」岱平窯/1296円(25)「菊型盆欅」古川工房/(7寸)7560円


宅飲みシーン

ろうそくだけで

秋の夜長は電灯を消して、ろうそくだけで過ごすのもいい感じ。気の置けない相手とゆっくり流れる時間を楽しんで。

(26)「手づくり和ろうそく」水俣侍街道はぜのき館/(白/絵付17cm)1400円、(生/絵付11.5cm)480円(27)「燭台(真鍮針芯)」リブラ工房/2500円(28)「手燭(真鍮針芯)」同/7020円(29)「炭化練上ぐい呑み(木箱付)」泗水窯/各1万2960円

(26)「手づくり和ろうそく」水俣侍街道はぜのき館/(白/絵付17cm)1400円、(生/絵付11.5cm)480円(27)「燭台(真鍮針芯)」リブラ工房/2500円(28)「手燭(真鍮針芯)」同/7020円(29)「炭化練上ぐい呑み(木箱付)」泗水窯/各1万2960円

(30)「なみだ型小皿(ミル紋)」高濱焼寿芳窯/850円