【462号】お気に入りを大切に長く着たい! 洋服簡単ケア&保管術

お気に入りの服は、少しでも長く着たいものですよね。でも、着るたびになぜだか形が崩れたり、くたびれたりしてしまうことも…。そんな悲劇を防ぐべく、洋服を扱うプロが日頃実践している「洋服長持ち」のための考え方と技を教えてもらいました。洋服を大事に長く着るために、ぜひ参考にしてくださいね。

洋服を扱うプロ2人に聞きました 簡単なひと手間で、洋服をキレイに長持ち!

普段、洋服を扱っているスタイリストと片付けアドバイザーに、簡単に実践できるコツを聞きました。

スタイリストが教える、洋服の簡単ケア

洋服へのダメージをガードする、ほんのひと手間

洋服は、「着る・洗う」を繰り返すことで、必ず傷んでいくものです。そのスピードを遅らせるには、普段の生活で「傷める原因をいかにつくらないか」にかかっています。汚れやシミ、シワ、紫外線による色あせがその代表格。湿気や臭い、ハンガーの角がダメージとなる場合もあります。こう書くと「大変そう…」と思われがちですが、気を付けるのはちょっとしたこと。畳むときにシワをすっと伸ばす、タンスに衣類をふわっと入れる、上着をさっとブラッシングする、風通しのいい所に掛ける、直射日光が当たらない所に干す、汚れはすぐ洗う…。一つ一つは小さな工夫ですが、この積み重ねで洋服をキレイに長持ちさせることができるんです。ちなみに、私は汚れが目立つ「白」や色あせしやすい「黒」のインナーなどは、ワンシーズンで処分しても惜しくないものと位置付けています。

好きな服ほど何度も着て、早く傷んでしまうもの。少しでも長く愛せるように、無理せず簡単なケアを習慣付けています。

スタイリスト 松田 美由紀さん

「Scarlet stylist」代表。熊本・福岡を中心に、TVやCM、広告、商業施設展示などのスタイリストとして活躍中。1児のママ。

スタイリスト 松田 美由紀さん


Miyuki’s Rule 1

コートは1日置いてクローゼットへ

頻繁には洗わないコートやジャケット。脱いですぐにクローゼットへ入れてしまいがちですが、中で湿気や臭いがこもり、汚れや傷みの原因になってしまいます。そこで、クローゼット外の風通しが良い所に一晩かけて置くようにしています。湿気や臭いが飛んでしまい、快適な着心地を維持できますよ。また、クローゼット内に湿気や臭いを持ち込むのも防げます。

上着のブラッシングを行うとベスト! ホコリや汚れが落ちるのはもちろん、表面の繊維を整えて毛玉を防ぐ効果もあります。

上着のブラッシングを行うとベスト! ホコリや汚れが落ちるのはもちろん、表面の繊維を整えて毛玉を防ぐ効果もあります。


Miyuki's Rule 2

シャツ類は一番上のボタンを留めて干す

面倒くさくてボタンを外して干しがちですが、ボディーに不要なシワがついてしまいます。一番上のボタンだけは留めて干すように心掛けています。


Miyuki's Rule 3

黒い服、色の濃い服は裏返して干す

紫外線は衣類の色あせの原因となってしまいます。とはいえ、洗濯物はお日さまの下で干したいもの。黒いTシャツなどは、裏返して紫外線を避けています。


Miyuki's Rule 4

デニムは脱いだら、引っ掛けて風を通す

毎回洗わないデニムは、脱いだら畳むのではなく、裏返してファスナーを開いてつるし、風を通します。湿気や臭いを飛ばし、次も快適に着ることができます。


Miyuki's Rule 5

ニットを畳むとき、「ひとなで」してシワを撃退!

ニットは一度シワが付くと取れにくいものです。畳むときボディーを「ひとなで」、さらに袖を「ひとなで」してシワを伸ばすひと工夫を。これだけでシワが残りません。


Miyuki's Rule 6

ハンガーの角による変形が起こりやすいカーディガン。ニットと同じようにシワをならしながら、ふんわり畳んで収納するのがベターです。どうしてもハンガーに掛けたい場合は太いハンガーを使い、上のボタンを留めて。


Miyuki's Rule 7

ワンピースは水の重みでシワを伸ばす

リネンなどシワが残りやすい素材のワンピース。洗濯時に脱水をできるだけ短くし、軽く振りさばいて干せば、水の重みでシワが伸びます。アイロンの手間やダメージを防げます。


整理収納のプロが教える、洋服の上手な収納

「洋服に呼吸をさせる収納」が一番大事

洋服に優しい片付け方とは、「適正量を守った収納」です。具体的には、クローゼットやタンス・衣装ケースの7〜8割に衣類の量を抑えるのがベスト。ハンガー間を空けたり、ケースの中にゆとりを持たせたりすることで「洋服に呼吸をさせる」ことが大事です。ぎっしり詰め込んだクローゼットやタンスでは服は悲鳴を上げています。取り出すたびに服が暴れ、奥には手も伸ばさなくなって…。好きで買ったはずの洋服が生かされない環境になってしまうんです。

洋服に呼吸をさせる収納技は、難しくありません。オシャレに楽しみ、身近な素材でどんな家でも簡単に実践できるものばかり。でも、まずは不要な服を減らすところから始めるといいでしょう。着ない服には「着ない理由」があるものです。鏡の前で着てみて着心地やデザインに少しでも違和感を感じたら、手離す理由が分かるはず。何もかも捨てる必要はありませんが、好きな服を大事に生かすためにも、衣替えなどのタイミングで整理をしてみましょう!

片付け相談室 芹川 由久子さん

“収納を楽しむこと”をコンセプトに整理収納を学ぶ「片付け相談室」を主催。ワークショップやカウンセリング、片付け作業も請け負う。
instagram@yukko_okatazuke


Yukuko's Rule 1

クローゼットの中は7割収納!

ハンガーの間隔を空けて、7割程度の収納量で服を掛けています。湿気もこもらないし、何より出し入れしやすいのでストレスがたまりません。真ん中の方は着る頻度が高い服、端っこには法事用などあまり着ない服を掛け、配置も工夫するとベスト。

衣装ケースの中も7割収納。ゆとりがあると、服を美しく畳んだまま収納でき、シワなども付きにくくなります。

衣装ケースの中も7割収納。ゆとりがあると、服を美しく畳んだまま収納でき、シワなども付きにくくなります。


Yukuko's Rule 2

コートや上着をディスプレーする

よく着る服や帽子は、ショップのディスプレーのように壁に掛けています。使うのは、市販の壁フック。あえてランダムに差して、大きさが違う服でもおしゃれなインテリアとして飾れるよう工夫しています。服が取りやすく、服も呼吸しやすく、そしてかわいい収納技です。


Yukuko's Rule 3

Tシャツは箱に並べて

手持ちの箱を使えば、Tシャツや靴下をスッキリ収納できます。Tシャツは箱に縦に並べると、取り出しやすくかさばりません。靴下は細長い箱を活用して収納します。箱同士を重ねられるので、ばらつかず省スペースになります。


Yukuko's Rule 4

デッドスペースにハンカチはタテ収納

ハンカチは細長いケースに縦に並べ、クローゼットのデッドスペースに。


Yukuko's Rule 5

カゴに「ざっくり収納」スペースを作る

シワが寄ってもいいエプロンやパジャマ、ショールなどは、カゴにポンと投げ入れて収納。楽々、かわいい収納技です。とはいえ、カゴにギッシリ詰め込むのはNG。


Yukuko's Rule 6

ポーチやバッグはケースにまとめる

意外にあちこちばらつきがちなポーチやフォーマルバッグなどは、衣装ケースの引き出しにまとめて入れます。いざというときに探し回らずに済みますよ。


アイロンがけの裏技!洗面台をアイロン台に

これはわが家の裏技です。アイロンとアイロン台を、洗濯機がある洗面所に収納し、洗面台にアイロン台を載せてアイロンがけします。ワイシャツやブラウスなどは、脱水後のぬれた状態でアイロンをかけて干すので、シワもキレイに取れます。


クリーニングのプロに聞いた 衣類の長期保管に絶対!気を付けたいこと

「クリーニング ホワイト急便」
常務 岩永真人さん

衣類の汚れは「鉄のさび」と同じ原理

衣類は、一度着ただけでも汗や皮脂などが付きます。衣類の汚れは、実は「鉄のさび」と同じ原理。最初は目に見えなくても、汚れが酸化して黄色いシミ汚れになります。温度・湿度が上がるとさびやすくなるので、冬の期間は見えなくても、これから梅雨の時季を迎えると黄色く変色する、という場合も…。うっかり放置し黄色汚れになってしまうと、簡単に落とせなくなってしまいます。

「しまう前に洗う」と湿気に注意

“汚れの酸化”を防ぐ方法は単純で、「しまう前に洗う」こと。自宅での洗濯やクリーニングなどで汚れの元を落としてしまえば酸化も防げます。また、湿度が高いと汚れが酸化しやすくなるため、保管環境は湿気が大敵。除湿剤の活用や小まめな風通し、またクリーニングに出したら袋から出して保管する、などを心掛けましょう。